第364話 プリン3人分の刑
「これだけあれば自分一人で自由にキャンプとか出来るよな」
確かに。
あと雨具と靴を買って貰う予定と言っていたけれど、単なるキャンプならこの状態でも十分出来るだろう。
「確かに出来るのだ。でも試しに寝袋とかマットとか全部装備してみたらかなり重くなったのだ。だから1人で行くなら車かバイクが無いと辛いのだ。
それにキャンプは皆でやった方が楽しいと思うのだ」
確かにそうだなと僕も思う。
せめて彩香さんと2人とか。
あれ、どうして他の人ではなく彩香さんが真っ先に思い浮かんだのだろう。
美洋さんでも未亜さんでも亜里砂さんでもいいのに。
やっぱり一番付き合いが長いからかな。
席もいつも前後の関係だし。
「そこで今、ごまかしが入ったのだ」
うん?
ちょっと厳しい亜里砂さんの台詞。
周りを見回してみて思う。
亜里砂さんの台詞はどうやら僕に向けられたようだ。
でもどういう事だろう。
「ごまかしというのはちょっと厳しいのです。表層意識は気づいていない、もしくは気づかないふりをしているのです」
未亜さんが今度は間違いなく僕と亜里砂さんに対してそう言った。
気づいていない、気づかないふり?
何の事だろう。
「でも微妙に腹が立つので悠はマーラウのプリン、被害者3人分の刑に処すのです」
何だそりゃ。
それに被害者が3人って、誰と誰と誰だろう?
でもマーラウのプリンか。
何か未亜さんに前にも言われたような気がする。
あれは何の時だっただろうか。
「まあ今の悠は気づいていないみたいだから取り敢えず執行猶予にはしてやっとけ」
川俣先輩まで。
「先輩は読んだのですか」
先輩は肩をすくめた。
「読まなくてもだいたいわかるさ。でもこういうのは本来デリケートな問題だから焦らせたらまずいだろ。悠がじっくり考えて答を自分で出すまで待つしか無い訳だ」
「何か青春していますね」
先生がそう言った後、付け加える。
「ただ取り敢えずテントは片付けましょう。使い勝手とかもわかりましたしね」
そんな訳で僕達はテントの片付けに入る。
「テントはともかくバーナーの方は練習が必要そうだな」
「そうですね。固形燃料を買ってきて、皆で練習をしましょう」
もう普通の会話に戻っている。
でも僕は気になっていた。
亜里砂さん、そして未亜さんは何を言っていたのだろう。
今の僕にはやっぱりわからない。
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