第358話 鬼?が来る前に間に合いました

 午後4時半、何とか亜里砂さんの宿題は片付いた。


「今日は流石に疲れたのだ」

 おやつのライスプディングを食べながら亜里砂さんがそうぼやく。


「でも亜里砂、彩香と悠には感謝しておけよ。休み1日潰して宿題に付き合わせたんだから」


「まあ自分の復習にもなるからいいですけれどね」

 A組は宿題が無いから、自分の見直しのためにもいい機会だったかもしれない。


「それに亜里砂、大分出来るようになってるよ。これなら1月から2月にかけての色々なテストも安心だね」


 それは僕も感じた。

 確かに夏頃に比べると段違いに出来るようになっている。


「ふふふふふ、私も進化しているのだ」


「努力しないとアウトらしいけれどな、おみくじによると」

 川俣先輩がさらっと釘を刺した。

 でも大丈夫。


「どうせ試験休みで未亜さんが勉強会をやると思うよ」

 僕の思っていた事を彩香さんが言う。

 試験休みとはこの学校の入試に伴う休みのことだ。

 成人の日がある1週間は入試のため学校は休み。

 教室がある校舎への立ち入りも生徒は禁止。

 ただ図書館とか厚生棟はやっているという状態だ。


「ところで明日の午前中には美洋と未亜が帰ってくるそうだ。だから七草採取は明日のお昼過ぎから実施予定だ」


「鬼が帰ってくる前に間に合ったのだ」

 おいおい亜里砂さん。

 冗談で鬼と言っているのはわかっているけれど。


「ところで明日はどんな所を探すんですか」


「セリはまあ、川の上流方向に幾らでも生えている。他は学校前の川端で日の当たる場所を探していく事になるかな。本当は田んぼのあぜ道なんかが栄養価も高くていいらしいけれど、この辺田んぼは無いしな」


「あと粥だけでは寂しいので持ち寄り用おかずを買いに行くのだ」


「そうだな。メインは粥だからそれにあったおかずを各自用意しよう」

 粥にあうおかずか。

 難しいな。


「さて、そろそろ片付けるか。午後5時終了だし」

 そんな訳で勉強道具一式や紙皿やコップ等を片付ける。


「本当は試験休みでこの前の雪山みたいなところに行きたいけれどね」

「先生は試験休みでも仕事だから無理だよな」

 試験期間中の先生は忙しいらしいしさ。


「でも釣りには寒いしポタリングには風が強いしなのだ」

 確かにそうなんだよな。


「まあその時はその時で何か考えよう。ん、待てよ」

 先輩が何か思いついたようだ。


「そう言えば亜里砂がキャンプ道具色々揃えたらしいけれど、試していないよな」

 そう言えば色々貰ったとは聞いたな。


「そうなのだ。いずれ何処かでデビュー戦をしたいのだ」

「その前に休みを使って試し運用をしてみないか。テントからバーナーから色々あるらしいし」


「望むところなのだ!」

 即答。


「まあ、まずは学校始まったら放課後に準備室に持ってきて、先生に一通り確認して貰おう。それからどんな活動が出来るか考えてみればいい」


 なるほど。

 先生の装備とはまた違う方向のようだし楽しみだ。

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