第353話 これも努力?

「さて、おみくじのリベンジマッチなのだ」

 そう言って亜里砂さんはおみくじの処へ。

 ついでだから皆で見守る。


 ここのおみくじは三択制らしい。

 まずおみくじと書かれた木製の四角い箱を振る。

 出てきた絵と同じ箱から1枚取る仕組み。

 出てくる絵は天神様、梅、牛の3種類と書いてある。


「牛だったのだ」

 そう言って亜里砂さんは牛の箱から1枚をちょっと選んで取る。


「中吉、書いてあることも微妙なのだ」


 どれどれ。

 学問の処をちらりと見て見る。

『素養はある。復習が肝心』

 なるほど。


「これは未亜が帰ってきたらよーくもんでもらえという事だな」

「リアルすぎて洒落にならないのだ」


 でも他を見る限り特に悪いことは書いていない。

 要約すると簡単だ。

「努力しないと叶わない、そんな内容なのだ」


「さっきのおみくじと同じじゃないか」

「そんな気がするのだ」

 それでも亜里砂さんはちょっと考えた後。

 境内の縄の処にいま引いたおみくじを折りたたんで結びつけた。


「この次こそ、三度目の正直なのだ!」

「次は鶴岡八幡宮。ただしあまりにも混んでいたらパスな」


 10分ちょっと住宅街の中を歩く。

 広い参道がある正面から入った。

 此処は流石に人が多い。

 でも4日の午後だからか、通行規制はやっていないようだ。


「ここは凄く広いね」

「ああ。歴史もあるし鎌倉の代表格のひとつだな」

 参道をひたすら歩くという感じで歩いてやっと手水舎へ。


「ここも赤く塗ってあるタイプだね」

「そうだな」

 そして何かの建物の横を通って石段を登って本宮へ。


「ここは建物ひとつひとつが大きくて立派だね」

「確かにそうなのだ。所々細かい彫り物もある


「ここの真っ直ぐ向こうがさっき登った山の一つなんだよね」

「そうだな。この真っ直ぐの方向だ。ここからじゃわからないけれどさ」


 なんて言いながらまた参拝の列に並ぶこと10分くらい。

 さっきと同様、彩香さん達と今年も楽しくいられるよう祈った後は。


「さて、三度目の正直なのだ!」

 おみくじタイムである。

 階段下りて社務所へ急ぐ亜里砂さんを見ながら先輩がこそっと言う。


「実はここ鶴岡八幡宮のおみくじは凶が多いという噂なんだ。他の神社ではまず見ない大凶も結構入っているらしい」

「それってかなり厳しいんじゃないですか」

「まあ本人が選んだ道だからな。温かく見守ろう」

 そんな感じで亜里砂さんを3人で見守る。

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