第349話 御飯の時間です
「ここが鶴岡八幡宮のちょうど真裏に当たるんだ。真っ直ぐ海に向かう太い道が見るだろ、あれが若宮大路。まあ帰りはもう少し右側の賑やかな通りを通るけれどさ」
確かに海から太い道が真っ直ぐこっちに向かって伸びていた。
「お弁当はここで食べるのか?」
「あと30分くらい先、大平山で食べようかと思っている。正確には天園の広場が目標かな」
そんな感じでまた出発。
弘法大師像が岩の上にあったり、岩を掘った穴蔵の中にお地蔵さんがいたり。
この道は今でこそハイキングルート。
でも実はもっと古い時代は実用的な道だったのかな。
そんな事を考えながら歩いていたらロープがある場所が出た。
このロープを使って岩の上を一気に登るらしい。
「こういう場所も慣れると楽しいのだ」
「階段よりはこっちの方が楽しいよね」
1年女子2人も楽々という感じで登る。
彩香さんも4月頃に比べると大分たくましくなったよな。
そんな事を思いながら隊列の最後尾をあるく。
この辺から道の様相がまた変わってきた。
「何か本格的な山道なのだ」
「確かに登山って感じだよね」
割と起伏が激しくなる。
でもそこまで高かったり低かったりは無いから逆に楽しい。
更に今度は平坦になった。
色々変化がある道だ。
そして道は林の先、開けた場所に出た。
岩場が主なせいかここは木々が生えていない。
ちょっと歩くと金網に『大平山』と書かれている。
「ここが山頂か」
「ちょっと味気ないね」
僕の気持ちを彩香さんが代弁してくれた。
「お弁当を食べるのはこの先すぐだ。ここよりはいい場所だぞ」
先輩がそう言うので止まらずに歩く。
左にゴルフ場の駐車場が見えて少し興ざめ。
まあこの辺も都会だから山奥まで開けているのはしょうが無いけれど。
そして先輩の言う通り、ほんの少し歩いたらそれっぽい広場に出た。
「ここが天園の広場、無事到着!」
そこそこ広い開けた草地と岩の広場だ。
既に先着のハイカーが何人か休んでいる。
展望も悪くない。
鎌倉市街地から海まで見える。
場所を見繕ってレジャーシート2枚を広げてお昼御飯の準備。
チキンと茹で卵を1人1個ずつ配布。
そして彩香さんがおにぎりを出してくれた。
アルミホイルで包んだ4個ずつの三角おにぎり。
「こっちがおかかで、こっちが昆布の佃煮」
「いいセレクトなのだ。私は梅干しが苦手なのだ」
「実は僕もだ」
あの酸っぱさはどうも好きになれない。
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