第318話 ビーフシチューと星空と

 一度外に出て、頂上付近で枯れ枝等薪になるものを探す。

 季節柄か結構落ちていた。

 大体1人当たり4~5本を集めて小屋に戻る。


 小屋には誰かが置いたらしい薪とか練炭とかが一応あったけれども、

「この辺は非常時に使う人用にとっておきましょう」

という事で拾い集めた枝を折って適当な長さにしておいた。


「それでは夕食をつくりましょうか」

 という事で夕食の調理開始。


 本日のメニューはビーフシチュー。

 大きいコッヘルで肉を焼くところからスタート。

 人参、ジャガイモは折りたたみナイフで皮を丁寧に剥く。

 タマネギも皮を剥いてざくざく状態に。


 あとはゆっくりと煮込むだけ。

 味付けは缶詰のデミグラスソースというちょっと豪華版だ。

 時折かき混ぜたり、薪ストーブの面倒をみたりしながらじっくり煮込む。

 外が暗くなり、明かりがランタン2灯だけになったころいい感じになった。

 主食のフランスパンをナイフで切って並べて完成。


「いただきます」

 と皆で言った後食べ始める。


「うーん、何か贅沢ですね。色々と」

 確かに山小屋貸し切りというのは贅沢だ。


「やっぱり平日だと他に利用者は来ないですね」

「この付近1キロ以内には誰もいないのです」

 未亜さんが術を使って調べた模様。


 そんな訳でゆっくりと温かい食事をいただく。

 薪ストーブは時々誰と無く見に行って、薪を加えたりしている。

 この薪ストーブの世話もまた楽しいのだ。


「後で外に出て、星が綺麗に出ているか見てみましょうか。寒いとは思いますけれどね」

「寒くなったらまたこの小屋に逃げ帰ればいいのだ」

 確かにそうだな。


 水が無いのでパンで鍋や食器の縁を拭うところまでがお約束。

 そんな感じで夕食終了。


「さて、外も真っ暗でしょうし星を見に行きましょうか」

 そんな訳で皆で外へ。

 木々の枝があるからそこまで空は広くない。

 でも星の輝きがいつも以上に綺麗ではっきり見える。


「今日は月が無いから秋の四辺形がはっきり見えますね。その右がペガサス座で左がアンドロメダ座です」

 正直星とか星座は僕は詳しくない。

 でもこれくらい綺麗に見えたら見るのも楽しいよな。

 ただ、息が白くなるくらい寒い。

 綺麗な空気という感じもするけれど。


「そろそろ冷えますから小屋に戻りましょうか」

 という先生の言葉で、皆で小屋の中へ戻る。

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