第283話 就寝時間です

 テント内でカードゲームをした後。

「そろそろ寝るか」

 という話になる。


「このテントに7人はきついから、先生と私は向こうのテントにするよ。こっちは1年生同士でご自由に」

 という訳で先輩と先生が出ていって。


 そして気づく。

 また女の子ばかりの場所で雑魚寝だ!

 そう言えば空気の匂いも女の子っぽいような。

 気のせいかもしれない。

 でもテントの中に女の子4人がいれば当然のような気も。


「さて、マットを敷き直しますか」

 斜め前と斜め後ろに入口がくるように、5人のマットを並べる。

 今日は僕のもエア入りのタイプだ。

 ささっと一番端っこをキープに成功。

 そう思ったら。


「私は暑がりなので端っこがいいのだ」

 亜里砂さんに場所を入れ替えられる。

 ちょっとまずいって、これ。

 口には出さないけれど。


「特に問題は無いのだ。寝袋の中だから手も足も出ないのだ」

 そりゃ亜里砂さん、その通りなんですけれどね。


 そんな訳で皆で寝袋の中に入って。

 うん、顔が近い。

 右には彩香さん。

 左に亜里砂さん。

 あの亜里砂さん宅で3人で一緒にベッドに寝た時以上に近いぞ、これは。


 取り敢えず気にしない素振りはしておく。

 亜里砂さんと、あときっと未亜さんにはバレバレだろうけれど。


「今回も楽しかったですね」

 この声は美洋さんだ。


「1泊だけではまだまだやり足りない事が多いです」

「私達はカヌーをしていないし、自転車もなかなか楽しいのですよ」


 確かにそうだな。

 先生が行ったハイキングなんてのもいいだろうし、先輩のように何もしないというのも手だ。


「また来ればいいよ。此処は逃げないしさ。冬だとキャンプ場が空くらしいしさ」


「それだとカヌーは無理だね」

 彩香さんにそう言われて気づく。


「こぎ出しで足が湖に入った時点で、動けなくなるのだ」

 亜里砂さんがだめ押し。

 まあそうだな。


「でも冬のキャンプもなかなか楽しそうです」

「焚き火してもいいし、テントに皆で入っていれば結構温かいのだ」

 確かに。

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