第278話 ちょっと豪華なサンドイッチ

 そんな訳で朝7時過ぎ。

 インフレータブルカヤック2艇に自転車3台、テント2つにその他大荷物を積んだ車に乗り込んで学校を出発。


「今日の朝昼御飯ブランチから向こうで作りますから、楽しみにして下さいね」


 という事で、高速を通って峠を越えてと2時間半。

 湖の畔のキャンプ場に車は到着した。


「よし、いい場所確保!」

 そう言う川俣先輩と一緒に荷物を出していく。


「ここのキャンプ場はテントサイトは先着順なんだ。だからカヤックを使うなら簡単に水辺にアクセスできるこういう場所を取りたかった訳だ」


 そんな訳でテント2張とカヤック2艘を組み立てる。

 更に何処かで見覚えのあるテーブルと椅子もセット。


「これって先生の家で使っていた奴じゃないですか」

「専用の家具を買うのも何なんで、アウトドア用の折りたたみテーブルと折りたたみ椅子を使っていたんですよ。値段もちゃんとした家具より安くて軽いですしね」


 テントもカヤックも既に経験があるから皆さん慣れたものだ。

 未経験の亜里砂さんには彩香さんが教えながらやっている。

 もともとテントは山岳用の簡単に立つタイプだから早い。

 カヌーも皆でかわるがわる空気入れをすればいつの間にか完成する訳で。


「それでは御飯にしましょうか」

 テーブルの上にガスコンロを出して朝食準備だ。


「そっちの鍋はコーンクリームスープ用のお湯を沸かしてください。あとは火を使わないメニューですから」


 先生は大きいトートバッグからフランスパンを4本取り出した。

 波形の刃がついた包丁でパンに縦に切れ目を入れ、切れ目の内側にバターを塗る。

 クーラーボックスから取り出したタッパーを並べ、中身をパンに挟んでいく。

 ポテトサラダ、チーズ、アンチョビ、キュウリ。

 そして更に上にトマトソースを載せて。


「アンチョビは島で作った自作のものですよ。トマトソースにもアンチョビが入っています」


 フランスパンを切り分けてこっちは完成。

 一方、コーンクリームスープはお湯を沸かして粉を入れるだけ。

 これを全員の食器に入れれば完成だ。


「何かお洒落な朝食だね」

 確かに2品しかないけれど、色合いが綺麗でおしゃれな感じだ。


「それでは、いただきます」

 という事で食べてみる。


 あ、こういう味なのか。

 基本はバター、チーズ、アンチョビの塩味。

 それらをポテトサラダやキュウリ、トマトソースが包む感じ。

 これはかなり美味しい。

 スープも粉末にお湯を注ぐだけのタイプなのに美味しい。

 パンと良く合っている。


「これを片付けたらあとはフリーです。ただ夕食は午後4時半くらいから作りはじめますから、それまでに戻って来て下さいね」

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