第261話 買ったからには責任持って
「魚は出来るだけ新鮮なうちに捌いておきましょうね」
そんな訳で朝5時から料理がスタート。
僕はお約束のサバから。
美洋さんと未亜さんは協力して詰め放題の魚色々を捌いている。
彩香さんはソーダカツオとシイラを前に固まっている亜里砂さんを指導中。
「中骨と頭は捨てないで私に寄越すのですよ。出汁に使うのです」
未亜さんは骨等を焼いて出汁を作るつもりのようだ。
きっと油揚を煮るためだろうけれど。
先生は時々教えながら、基本は黙って見ている方針のようだ。
僕はサバを取り敢えず塩漬けした後、美洋さん達の詰め放題を手伝って。
何とか1時間程度で全部を捌き終わった。
「それでは朝御飯を作りましょうか。魚は取り敢えず刺身でいいですね。あとは簡単に煮物とみそ汁でも作りましょうか」
先生はそう言ってささっと準備をする。
「あと、未亜さんのカブと油揚を使っていいですか」
「どんどん使って欲しいのですよ」
そんな感じで。
僕がこそこそと塩漬けしたサバを洗って砂糖とぽん酢を混ぜた液体に漬けた頃。
朝食が完成した。
「お刺身各種とお味噌汁とあら煮、あと焼き油揚ですね。お味噌汁はソーダカツオの頭部分のあらにカボチャとカブ、油揚を入れたもの、あら煮はシイラの頭部分のあらです。焼き油揚は焼いて生姜を混ぜた出し汁をかけたもの。さあどうぞ」
例によっていただきますの唱和の後、食べ始める。
「このピンクっぽいお刺身、美味しいですね」
「それがシイラです。この時期は脂がのっていて美味しいですよね。鮮度が持ちにくい魚ですけれど、今日のは大丈夫そうだったので」
「このみそ汁も豪華ですね。魚の強い風味が活きていて」
「ソーダって出汁が出やすくていいですよね」
「私はこの焼油揚げが好きなのですよ」
そんな感じで勢いよく食べていく。
それにしても同じ刺身でも、シイラとソーダカツオとでは全然味わいが違う。
同じ魚でもこんなに違うんだな。
当然アジやサバは美味しいし、カワハギも最高だ。
「うちの母には行儀が悪いと言われるのだが、父親直伝の美味い食べ方!」
亜里砂さんがあら煮付けの皿を傾け、自分の御飯茶碗に汁を注ぎ入れる。
先生も苦笑。
「確かに行儀は悪いですけれど、美味しいですよね」
良くわかる。
「食べ過ぎるなよ。出かけた時に動けなくなるぞ」
川俣先輩がそう言ってはいるけれど、美味しいものは美味しい訳で。
みそ汁すら何度もおかわりしたくなる旨さだ。
普通のみそ汁に比べるとちょっと甘さを感じるけれど、味噌が違うのだろうか。
「臭みをとるためにちょっと酒を使っています。あとは味噌、合わせ味噌ですが今日は甘めの白味噌を大目に混ぜてみました。」
なるほど。
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