第234話 今度も程良く釣れています。

「あれはおそらくサバですね」

 先生がそう解説。


 そして美洋さんが更に仕掛け付近に落ちるようアミエビを撒いた処で。

 仕掛けが一気に下がった。

 一気に2匹ほどサバがかかっている。


「彩香も悠も仕掛けをそこに移動するのです。私はエサをちまちま撒いて魚を寄せておくのです」

 そう言いながら未亜さんが少しずつアミエビを撒く。

 なので僕と彩香さんも便乗させて貰って。

 そして美洋さんが魚を外してエサをつけてまた入れて。


 魚が寄っているせいか、僕の仕掛けにも彩香さんの仕掛けにも魚がかかる。

 でも餌付きの美洋さんの方が断然釣れている。

 僕と彩香さんをあわせても美洋さんの方が多いくらいだ。


「遠慮せずエサをつけてやるのです」

 というので遠慮無くエサ付け道具を借りてつけて。

 なかなか上手く針にささってくれないけれど、それでも下ろすと釣れる。

 そんな感じでお祭り状態を10分位して。

 そしてまた、ふっと釣れなくなった。


 そして。

「来た!」

 先輩が竿を一気に上げた。

 そしてぐいぐいと巻き始める。

 結構大物のようだ。

 時々リールが巻けて糸が出たりもしている。

 糸が太くないからリールのドラグを弱めにしているせいもあるだろうけれど。

 それでも何とか上げたのは、立派な黒鯛。


「悪いな。そっちでエサを撒いているのに便乗して、長い仕掛けを潮にあわせて流していたんだ」

 なるほどな。

 30センチはある立派なサイズだ。


 そして更に。

「1匹下さい」

 先生が小さめのサバをバケツから取っていく。


「生き餌で泳がせ釣りです」

 かなり長い仕掛けを綺麗に投げて40メートル以上先へ。


 あの無人島での釣りみたいに大きいのがガンガン釣れる訳では無いけれど、こういうのもいいな。

 そう思いながら僕は再び投げサビキに戻る。

 なかなか釣れないけれど。


 その後はぽつり、ぽつりという感じで。

 彩香さんの仕掛けに始めてサバ以外、と言ってもイワシが釣れて。

 未亜さんは相変わらずキヌバリとかネンブツダイとか色々種類を稼いでいって。

 そして。

 僕の投げていた仕掛けのウキが消えた。

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