第189話 明日朝は天候不順につき

 結局夕食は午後9時過ぎになった。

 深草うちも秋津学園側も午後8時には帰ってきた。

 でも釣った魚の処理とかで簡単に1時間以上経ってしまったのだ。


 なお秋津学園側が釣ってきたのは、

  アジ、サバ、アラ(の小さいの)、黒鯛、イサキ、コロダイ、フエダイ

という感じ。

 アジとサバがある分若干うちよりも燻製向きだろうか。


 処理して開いて物によっては塩して。

 開いたものは大広間を構成する一番奥の部屋で扇風機当てて乾燥させ。

 アジやサバや小魚を開いたものが新聞紙の上に並んでいる。


 魚が多すぎて干し網では間に合わない。

 そのまま外に干すとハエが来そうだしで。

 結果一番奥の部屋に魚臭い一角が出来てしまった。

 

 そして夕食は豪華白身魚フルコース。

 あと昼間に作った燻製の一部。


 間違いなく刺身が美味しいのは確かなのだ。

 ただ毎日美味しい刺身が続くと舌は変化球を求め出す訳で。

 そんな訳で燻製したスマのサクは真っ先に姿を消した。

 あとしめ鯖の燻製、あれもなかなか美味しかった。

 そんな訳で明日の朝に期待したいところだけれど……


「気象情報では明日朝は雨の予報なのですよ」


「風もあるから朝釣りは禁止ですね」


「本当は本気で荒れている方がヒラスズキは釣れるんですけれどね」


「それは大人になってからです」

 という事で。


「なら明日朝はちょっと深草の方で行事を考えますよ」

 川俣先輩がそう言った。


「朝食に間に合う程度という事で、朝7時から。小麦粉と、あとストックのチーズを大量に使いますけれどいいですね」


 この時点で秋津の数名は何を作るかわかった模様。

 朗人先輩を筆頭ににやりとした面子がいたから。


「そんな訳で深草の面々は食事後キッチン集合な。ちょっとした準備作業がある」


 何だろう。


 ◇◇◇


 食事を終えた後は小麦粉を捏ねる作業だった。

 まずは先輩がバケツに強力粉を3袋、薄力粉を1袋の3分の1くらい入れて。

 砂糖とかイーストとか水かとかを混ぜでガシガシとやっている。


 こねこねと言うよりボロボロという感じで微妙にまとまらない生地を作って。

「まあ水回しはこんなところだろ」

 とその生地を4つにわけた。

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