第165話 ちょっと違った料理
家に入るとすぐわかった。
川俣先輩が料理をした痕跡が空気中に漂っている。
川俣先輩はスパイス大好きだ。
しかも実家から大量に送って貰っている。
今回の合宿でも色々持ち込んだらしい。
「スープと蒸し魚だけつくったから、刺身その他は頑張って作れ」
と言うことで。
未亜さんがメバルとフエフキダイを焼き霜造りなんて器用に仕上げ。
僕は保存していたしめ鯖と漬けかつおの残りを切って。
美洋さんと彩香さんでサバの干物2枚を焼いて。
夕食が完成だ。
なお食事の対抗戦は昨日夕食の豊漁以来消え去った。
これだけ余裕もって材料が揃うのだ。
対抗戦の必要はもう無い。
そんな訳で食卓にはうちの急ごしらえメニュー以外にも色々並んでいる。
ただ目につくのは明らかに川俣先輩が作った一群の料理。
スパイスソースがかかったアジとか。
インドカレーに出てきそうなロティとか。
もう香りからしてエスニックなスープとか。
なおロティに併せて食べる用なのだろうか。
シーチキンマヨみたいなのとか。
見た目はサバ味噌煮だが明らかに香りがちがうものとか。
そんな数品が小皿でスタンバイしている。
「いただきます」
と言ってまずは自分用しめサバを御飯で食べる。
うん、美味しい。
美味しいけれど……
どうしても川俣先輩の作った色々が気になる。
ただ既に我先にという感じで手が伸びていて。
僕や男子先輩2人は手が出ない。
ようやく落ち着いたところで・
まずはロティとシーチキンマヨ風を……
うむうむ。
味はきっとサンドイッチのツナマヨの延長線上。
だけれど延長線かなり先~の方の味だ。
何か清涼感ある香りもふっとする。
これは……表現は難しいけれど美味しい。
スープの方も、そしてアジも。
上空が空いたところですかさずキープ。
「これは、やられたのです。想像外の味なのです」
佳奈美先輩の声が聞こえる。
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