第166話 2日目の夜の部は

 そんな訳で夕食を食べ終わったら夜の部だ。

 何せ本日はほとんど漁をしていない。


「やっぱり磯とか攻めた方がいいよな、夜なら。前回はまだ少し明るさが残っていたから青物も来たけれど」

 と先輩が言うので本日攻める場所は磯場だ。


 今回の標準仕掛けは『ほんのちょい投げ』。

 いつものちょい投げ仕掛け以上に軽くて簡単な仕掛け。

 糸だけはごついけれど。

 そんな仕掛けをそーっと岩場の直近の底が砂地のところに。

 静かに静かに落として待つ。


 なお標準仕掛けは僕と彩香さんと川俣先輩。

 未亜さんはいつもと同じカゴ付きウキ付きの仕掛けを遠方に投げていて。

 美洋さんは信頼感抜群なスキンサビキを遠投仕掛けに付けて投げている。


 ただ釣れなければ困るという切迫感は無い。

 何せまだまだ在庫があるし、朝一番の方がきっと釣れるし。

 そんな訳で色々遊び感覚だ。


 最初に来たのは美洋さんの仕掛け。

 投げて20秒もしないうちにウキが消える。

 二浦でも見たような赤っぽい小魚がかかっていた。


「これってネンブツダイだっけ」

「だと思うけれど、ちょっと違うような気も」


 海岸に撤収して魚を外してバケツに入れ、そしてまた投げる。

 またすぐ釣れる。

 外す。

 この繰り返しであっという間に10匹以上の赤っぽい小魚がバケツに入った。


「うーん、こればかり釣れるのも悔しいです。でも釣れないよりは小物でも釣れた方が楽しいんですよね」


 そして。

「餌用に1匹いただくのですよ」

 と未亜さんが1匹を自分の仕掛けにエサとしてくくりつける。


 そしてようやく彩香さんにもヒット。

 そこそこ引いて楽しみながら上げたのは。

「カサゴ。サイズもまあまあだな」

 先輩がそう判断。


 そして。

 先輩ががしっといきなり竿を上に上げる。

「来た。そこそこ大物」


 彩香さんのカサゴとは明らかに違うファイトをしている。

 引き上げたのは全身に斑点がある形はタイっぽい魚。


「これは知らないな。後で先生に確認して貰おう」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る