第141話 頭の中は既に合宿

「なんやかんや言って、既に全員メンバーに入れているんじゃ無いですか」


「それはその方が面白いからなのですよ」

 未亜さんはあっさりそんな事を言う。


「そんな訳で、明らかになってしまったのならしょうが無いのです。こっちはこっちで色々作戦を考えるのですよ」


「釣りはこちらの方が慣れているようですね」

「甘い、今度はエサの確保からが釣りなのですよ」


 そうか。

 当然コマセなど向こうには無いしな。

 採取出来るエサとなると……何だろう。


「未亜さん、場所はどの辺りを想定しているのですか」

 先生が重要な事を確認する。


「長崎の方の、昔は人が住んでいた無人島予定なのですよ。水や寝場所、トイレ等は空飛ぶ家があるからいいとして」


「なら植生はこの辺とそれほど変わりませんね。魚等生物の基本も」


「取り敢えず手近な貝とかカニとか捕まえて、一本針で釣りというところか」

 寝ていた先輩も起きてきた。

 そうか、貝なら捕まえるのは難しくないな。


「あとはペットボトル改造のセルビン。あれを数作っておけば小型の魚やエビ類等が手に入るだろう。その辺を引っかけておいて大物狙いなんてのもいいな」

 流石先輩、具体的なアイディアがどんどん出てくる。


「そうですね。折角別チームになったみたいですから、今回の作戦は生徒の皆さんで相談したりして考えてみて下さいな。ネット等でも調べて。

 さて、期間はどうしましょうか」


「まずは先生の都合をすりあわせてくれればいいのですよ。私や美洋は旧盆までは無い筈なのです」

「私も特に無いな。インドに帰るのも面倒だし」

「僕も学校行事と言えばどうにでも」

「私は特に帰る予定も無いですから」

 という訳で、計画が一気に動き始めた。


「あとは用意の期間を夏休み開始3日位は取る予定なのですよ。特殊な釣りの仕掛けとか新兵器の作成とか色々あると思うのです」


「取り敢えず明日の放課後は100円ショップだな」


「近くの100円ショップは小さめだから、夏休みに入ってからでいいなら車で大きい100円ショップや釣具屋さん、ホームセンターに案内しますよ」


「先生、是非お願いします」

 もう頭の中は合宿突入モードだ。

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