第136話 耳抜きの方法論
魚が色々見える。
小さいのが多いけれど、たまにそこそこ大きめのもいる。
今回は初級編ということで、
○ 潜らない
○ 場所は足がつくところ周辺限定
○ 3~5分に1度は足をついて回りを眺めて自分の位置を確認
という条件付き。
でもそれだけでも今までと違う世界が見える。
波のせいでたまにシュノーケルに海水が入ったりもするけれど。
イワシらしき群れをおいかけたり、鮮やかなベラがいたり。
ただ口呼吸に慣れなくて時に息苦しく感じたりもする。
フィンは『腰辺りから意識して動かす、膝は使わない』という意味が少しずつわかってきた。
そして槍や銛が欲しいという美洋さんの意見が非常によくわかるようになった頃。
「そろそろ元々泳げる連中は大丈夫そうだな。次の段階いくぞ」
と先輩が彩香さん以外を招集する。
「さて、次は潜る時等に使う息抜きだ。耳の中の空気を鼻側に逃がすテクニック。これが出来ないと耳がツンとした状態になってしまって最悪鼓膜等に支障が出る。
方法は色々あって、私は
○ 口を閉じたまま開けた状態に広げてアゴの骨に力を入れる
という方法を使うけれど、
○ 口を噛みしめてつばを飲み込む
○ 鼻をつまんでつばを飲み込む
○ あくびをする感じで口の骨を動かす
○ 呼吸を止めて鼻からゆっくり息を出す
とかでやる人もいる。
ちょっと練習。耳に息が抜けたように感じるまでやってみてくれ。これが出来たらここくらいの場所なら潜水しても大丈夫。
このテクニックはスキューバダイビングなんかだと必須だから、今のうち出来るようになっておけば便利だぞ」
というのでそれぞれ特訓開始。
「うーん、片耳だけなら簡単なのですが」
とかやっているうちに。
あ、何か出来たような気がする。
もう一度。
あくびを噛み殺すような感じで。
「何か出来るようになったみたいです」
「どんな方法で出来ました?」
「あくびをかみ殺すような感じです」
「よし、出来た順に潜水許可。ただし場所は常に確認しておけよ。あと岩とかの下には絶対潜るな。いざという時危険だからな」
という事で先輩から潜水を許可された。
まだ練習中の美洋さん達を後に、海へと向かう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます