第116話 いよいよ来ました時合いです
針にかかっていたのはフナっぽい銀色の魚。
どれどれと川俣先輩がやってくる。
「ウミタナゴだな。煮付け用かな」
と、僕の仕掛けが沈んだ。
ただあまり抵抗はない。
あっさり引き上げる。
赤いちっちゃい魚が1匹ついていた。
「ネンブツダイ。まあお約束な奴だ」
美洋さんも同じ赤い小さいのを釣り上げる。
どうも釣れる時間帯が来たようだ。
彩香さんも更に1匹追加。
やはりウミタナゴだ。
「よし、私も本腰行くか」
と先輩が言った時。
僕の竿が一気に引っ張られた。
重い。
でもその割には抵抗はない。
上げてみると何と黄色っぽい線の入ったナマズみたいなのが何匹も釣れている。
「危ない!触るな」
先輩が飛んできた。
「何ですか」
「それは非常に痛いトゲがあるんだ。ゴンズイと言ってさ」
仕掛けを全部破堤の上に上げて。
ハサミと魚掴みでトゲを切り取ってから外して。
更に。
「これも定めだ、悪く思うなよ」
等と言いながら先輩がハサミで頭と内臓を取ってクーラーボックスに。
その間に。
「ごめんなさい、私もです」
美洋さんの仕掛けにもゴンズイがいっぱいついていた。
小さいのばかりだ。
どうも群れが通り過ぎたらしい。
「これは味自体は悪くないんだが面倒なんだよな。あと美洋その仕掛けはこれと同じように置いておいてくれ。取り敢えず私が外しておく」
「すみません」
「いや、適切に措置しておけば案外これは美味いんだ。でもトゲに刺されると相当痛いらしいからな。しかもさっさと内臓を出さないと臭くなるらしいし」
先輩、頑張って何とか全部トゲを切って頭と内臓取ってクーラーボックスへ。
非常に申し訳ない。
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