第96話 先発隊帰投

 食器を洗って戻ってきたところで。

 あのマイクロバスが戻ってきた。

 予定より30分位早い。

 慌ててガス2つをつけ、先生分のうどん茹でとシチュー温めを開始する。


 バスはゆっくり走ってきて、今朝と同じ位置に停まった。 

 全員が降りてくる。


「どうだった」


「楽しかったですよ、とっても」

 これは向こうで唯一の中学生、須田さんだ。

 中学生と言っても3年生で先輩だけれども。


「思ったより水量もあっていい感じで流れていますよ。最初だから皆で真面目に漕いでいたら、思ったより早く進んでしまいました」


 そんな話を聞きながら僕は横目でうどん用お湯の状況を確認。

 よし沸騰した。

 うどんを入れてかき混ぜる。


「それで御飯の方はどう?」


「シチューの方は完成です。小暮先生のうどんもまもなく」


「ありがとう。なら食事にしましょうか。小暮先生先に食べていて下さい。私はカヤックの用意の方を見ていますから」


 うどんは大分よれが取れた。

 もう少しだ。


「それでは後発隊は舟の準備をしましょうか。悠君そのうどんはもう大丈夫だと思うわ。あとは先発隊と小暮先生に任せて、舟の方お願いね」


「わかりました」

 という訳で柏先輩に代わって貰ってバスの方へ。


 カヤックは折りたためる程度に空気を抜きました、という感じだ。

 津々井先輩が操作してバスの後ろのドアを開け、荷台リフターみたいなものを階段くらいの高さにセットする。


「本当はこれ、車椅子用の設備なんだ。でも荷物運搬用に便利だよ」


 なるほどなと感心しながら中に乗り込み、舟を引っ張り出す。

 けっこう重い。

 濡れているせいもあるのだろうけれど。


「艇は丈夫だから石の上を引っ張っても大丈夫よ。取り敢えず中のカヌー関係を全部出して下さい」


 という訳で。

 僕と津々井先輩中心で舟を引っ張り出し。

 他全員でパドルとかライフジャケットとかヘルメットを出す。

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