第51話 魚の群れが来たようです
「巻いて美洋さん、釣れていますよ」
先生も今は1年生は名前呼びする。
そして美洋さんが巻き終わる前に。
「こっちも!」
彩香さんのウキも沈んで消えた。
僕のはそのまま。
「はい美洋さんそこで巻くの止めて。ゆっくり竿を立てていって」
先生の言う通り竿を立てると、仕掛けに小さい銀色の魚が1匹ついている。
先生は手元に戻ってきたしかけのおもりを取ると、美洋さんの竿を掴んだ。
「こうやっておもりを持てば安全です。あとは適当に竿をその辺で横にして」
仕掛けと竿を横に倒して。
「針は自分で外してみて下さいね。次は彩香さん」
美洋さんはビチビチ跳ねている魚に戸惑い気味ながらも。
何とかラジオペンチを使って針を外して、魚をバケツの中へ。
その間に先生は彩香さんのを手伝っている。
こっちも同じような魚だ。
「今は美洋さんが作業しているからこっちでと」
後の堤防が高い部分に沿って竿を横に置く。
「どっちも鯖の小さいのですね。今がチャンスかもしれません」
先生はそう言って、コマセを長いスプーンみたいな物で掬って。
3メートル位先の海面へ3回程投げる。
「良し、今です。悠君糸を巻いて今私が餌を投げた処にウキを近づけて」
僕は言われた通り仕掛けをその付近に近づける。
確かにちょっと深いところに黒っぽい魚が群れになっているのが見えた。
その付近へと近づけて。
先生がさっとコマセをまいた。
その瞬間、くっと竿が下向きに引かれる。
「はい1丁上がり。美洋さん、彩香さん、餌は入れないで良いですから仕掛けを海に入れて下さい。今チャンスですから」
そんな感じだ。
釣れ始めると1回に2匹以上かかることも珍しくない。
そんな感じで釣っては外して釣っては外してと。
3人のうち常に1人は釣れているような状態が始まった。
なるほど。これが異常に釣れるという状態か。
楽しいけれどせわしない。
連れてくるのはほとんどが同じ魚。
さっき先生が言っていた鯖の小さいのだ。
時々もっと細くて小さく見えるのもかかる。
こっちはいわしだそうだ。
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