第10話 取捨選択の思わぬ結果

「まず、仲代君はどういうところに入りたいか、希望を聞いていいですか」

 まずは僕からか。


「まず運動部か文化部かと言われると文化部だな。あまり本格的なスポーツをする気は無いしその自信も無い」

 栗原さんが運動部に青いボールペンで×をつける。


「でも、ある程度身体を動かせるような活動がいいかな。部屋に閉じこもっている活動だと運動不足になりそうで」

 栗原さんが、

  ○ 漫研

  ○ 文芸創作部

  ○ 化学実験部

といったあたりに×をつける。


「そんなところかな。ただ栗原さん自身の希望も考慮してくれよ」


「ええ」

 彼女は頷く。


「私は少しは外に出る活動をしたいです。何せこんな感じなので少しでも色々普通の生活に慣れようと思うから。

 あとは体力が無いので運動神経の必要ないところです。でも少しは鍛えなければとも思うので、少しは動きのあるところがいいです」


 何か聞いていると。

「僕とそんなに変わらないか」

「そうですね」

 という感じだ。


 他にも2人で色々検討した結果

  ○ 光画部(写真部)はカメラを持っていないし買うと高い

  ○ 郷土史研究部は微妙に部内向けっぽい気がする

  ○ スケッチ愛好会は2人とも絵画に自信が無い

  ○ 競技カルタ部はちょっと怖そう。あと外に出ない

  ○ ハイキング部は遠方にも出かけているのでお金がかかりそう

なんて感じ。


 結果残ったのは何と。

「この『野外活動部』って、きっとあの『野遊び部』の正規名称ですよね」

という事になってしまった。


「活動場所が理化学実験準備室だし、顧問が草津先生だし。間違いないよな」

 まさか取捨選択して残るとは思わなかった。

 でも何か楽しそうではある。

 あの部屋の2人の雰囲気も悪くは無い。


「ならちょっと、昨日の部屋に顔を出してみるか」

「そうですね」

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