今週末は合宿です ~ 深草学園野遊び部・アウトドア歳時記

於田縫紀

第1部 春・4月から~

序章 ぼっち達の邂逅

第1話 ぼっちな船出

 春。

 4月7日火曜日午前8時10分。

 この中学校の登校第1日目。


 指定された4階建て校舎の1階、昇降口から一番手前の教室。

 1年A組の廊下側前から3番目に座った僕は。

 何かと色々圧倒されていた。


 まず。

 クラスメイトが女子ばかりだ。

 配られた資料によれば1年A組35人のうち、男子は7名女子28名。

 ぽつんぽつんと男子がいる。

 他は全部女子。

 そんな感じだ。


 しかも僕以外の男子。

 既に2つのグループになっている模様。

 今更その中に入るのもちょっと勇気がいる。

 今日が学校の初日なのだけれども。


 聞こえてくる話によると。

 連中は附属小学校からの持ち上がりらしい。


 この深草学園中学・高等学校は元々関西の方にあったと聞いた。

 10年前くらいに中学以上が全寮制の中学・高等学校として再編。

 ここ神奈川に移転してきたそうだ。

 ちなみに関西には幼稚園と附属小学校が残っている。

 何故そんな遠隔地になったのか。

 その辺の事情は学校案内にも書いていない。


 さてと。

 ぱっと見このクラス。

 大きく2つの生徒にに大別することが出来そうだ。

 小学校からの持ち上がり組と中学からの組。


 既にグループを作って色々話しているのはおそらく小学校からの組。

 そして静かなのが中学からの組。

 人数比にして3対1くらいだろうか。

 勿論僕は中学から、つまりこの4月からだ。


 僕がここへ進学した理由は簡単。

 地元の公立中学に行きたくなかったからだ。

 何せ評判があまりによろしくない。

 周りの少しでも出来る子は皆私立へ進学してしまう。


 そんな中で僕は。

 家の財政事情や教師の勧めや奨学金等。

 諸事情によってここに進学することになった。


 その辺では小学校の担任ではないが恩師の加茂先生に頭が上がらない。

 加茂先生のおかげで僕は地元中学に行かずに済んだような物だ。

 見かけはぼーっとしたオタク系青年教師にしか見えない。

 でも僕は先生に感謝しているし尊敬もしている。

 少なくとも小学校時代に合った先生では一番。

 でもまあ加茂先生のことは後にしよう。

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