私は王立騎士!

@yoshipTp

第1話

 ばさり、ばさりと私が乗っている竜。

「ゲンナイ」は、優雅に漆黒の空を斬るように飛んで行く。

この、汚れた世界を。


 地上には、「穢れた民族」がいる。

そして、こちらを見てくる。

下品に。口を大きく開けたり、指を指したり。

本当に、あんな民族に生まれてこなくて良かったと思っている。

きっと、私の国の民も、そう思っているだろう。


 私は、王からの命「我が国への、下族生物の侵攻を防げ」

をこなす為に、わざわざこの地に来ている。

この命がなければ、こんな所には来ない。

ナリ部隊長のような、変り者でなければ。

あの人は、極度の変人だ。

王立精鋭騎士隊の中でも、1、2を争うほどだろう。

ま、あんな人に付き合っていたら、実力が無い限り命が永遠にあっても足りないだろう。

私には、あんな真似は出来ないが。


 ひゅう、ひゅうと顔を撫でる風が、少し寒く感じてきた。

あまり飛んでいないはずだが...

いつもならまだ、大丈夫な時間。

こんなことが精鋭騎士たる私にあってはいけない。


 しかし、この間のナリ部隊長の悪戯は、身に応えた。

少し、思い出話をする時間を頂けないだろうか。


 あれは、一昨日ぐらいだったか。

私が、1日に1回の至福、お風呂の時間の「事件」だった。

「おぅい。2等士」

部隊長はいつも部下の事を、階級で呼ぶ。

今は、誰も階級が被っていないからいいからいいものの。

私はいつもここで「名前で呼んで下さい」というのだが、至福の時間なのでリラックスしたい。

事を短く済ませようとした。

「何ですか、部隊長。短めにお願いしますよ。」

「へーへー。じゃ、長めに話そうかなぁ。」

はい、クソー。

部隊長、性格悪すぎ。

ざばぁ。と、小さな水しぶきを上げ、部隊長はこっちにやってくる。

きゃあ、部隊長立派。(何が、とは言わない)

ポン、と部隊長は、私の肩に手を置く。

めっちゃゴツゴツしてるなぁ。

「あ、ちょ、そこはだめですってぇ///」

「肩を揉むだけでその声を出すのは反則だぞ。」

「いや、これが女性の特権ですから。」

私は、口を隠し、クスクスと笑う。

「はいはい。特権は分かった。」

で、と部隊長は間を開ける。

「本題に入ってもいいかな。俺は、女性の特権とやらを聞きに来たんじゃないんだ。」

「あ、そうなんですかぁ?てっきり私の‘‘おっぱい‘‘を見に来たのかと。」

「勘違いは、そこまでにするんだ。」

部隊長は、少し不機嫌になり怖い口調になった。

わお。

「はいはい。で、どうしたんです?こんな時に。短くお願いしますね。」

「いやだ。絶対長くしてやる。」

いや~部隊長は可愛いなぁ~。

ま、こんなことは口にはできないんだけどね。

「えっとな、あー...ちょっと向こう向いててくれないか?」

「え?いいですけど。まさか...勃っちゃった、とか?」

部隊長は少し動揺したような声をあげた。もっとやってしまおうかなぁ。

「そんな状態で後ろ向かせるなんて...破廉恥すぎですよぉ。」

と、言うとさっきとは違う感じの声で

「そんなことを言うやつにはお仕置きだぁ!」

と、野太い声とジャラジャラという音が。

「おりゃあ!北の国の永久雹をくらえぇ!」

む?、と振り返った私の目に飛び込んできたのは...

「ぐゃあ!何するんですかぁ!ああ...寒い...」

紛れもない、「氷の国」こと北の国に降る、雹だった。









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