下手な医者

自慢じゃないが、俺は手術が下手だ。

死にそうになったって、俺は俺みたいな医者に手術を頼みたいとは思えない。

だが他人様にはしなくちゃならない。医者なんだからな。生活のためさ。

きったはったもわからんし、どこをどうつなげるんだったっけ……。

ええい、テキトーにヤッちまえ、オリャーッという具合。

そうして切り刻んだ患者が数千人。

いったいなんであいつらみんな生きてんだ?


・・・


「素晴らしい外科ロボットだ。しかしどうして、下手な医者なんて名前を?」

「そう思い込んでもらっているのです」

「ロボットにですか? なぜ?」

「賃上げなど要求されては困りますからね。

 それに、命の価値など、わかる機能はありませんから」

「まさか、わけもわからず、手術をしているのですか」

「ええ。まあ。……ここだけの話、仕事ができりゃいいんです。ドーデモ」

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