オチのある400文字

かんらくらんか

八つ目

「妙な夢を見てね」


「どんな夢だい? 聞いてほしいんだろ」


「ああ、聞いてくれ、八つの目がある女の夢さ」


「なんとも妙な夢だね。気味悪かっただろう」


「いや、それがとても美人に思えたんだ。現実に会いたいくらいさ」


「まあ、八つ目なのはいいとして、まさか……」


「そう! 腕も八本、足も八本だった。指はそれぞれ二十本ずつだから、しめて百六十本だ。鼻は四つ、鼻の穴は八つ、口は四つ、舌は八つ、それから、歯は何本だったっけ、ええと」


「もういい、もういい、だいたいわかったよ」







そういう彼らには目が百個あった。


さて、指は何本、歯は何本?


彼ら自身ときどき忘れる。


毛はボーボー。


へそひとつ。


あたまふたつ。




ひとりごと。

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