第9話 学園への基準値(1)
~前書き~
レイと男性(公爵家当主)の言い合いを今回は引っ張ります。
何処まで続くか分かりませんが、楽しめるように頑張ろうと思います。
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「はぁ。君の常識は我々とはかなり違うみたいだね」
「ああ。今なら昔の友人が言っていた言葉にも納得出来る」
「それは、どんな言葉だい?」
「『見ろ!人がゴミのようだ!』」
「確かに”
「ああ。友人からは『人間などカスだ!!』と毎日言われていたからな。まあ、俺も人間だが」
「友人は君をメチャクチャ罵倒してるぅ!?その友人は君が人間って知らないの!?」
「魔王だしな。毎日俺が滅ぼしていたから腹癒せじゃないか?」
「魔王が友人!?っていうか、君は友人を毎日滅ぼしてたの!?」
「ああ。朝になると必ず交尾というのを迫ってくるからな。まったく発情期でもないのだから」
「魔王意外と可哀想!?君のコト大好きじゃないか!?」
「そうなのか!?交尾をすると一生で1回しか使えない大剣を失うと魔女から聞いたのだが」
「常識の欠損が激しいね!?大事なこと知らないの!?大剣は大剣じゃないんだよ!?」
「そうなのか?雌に対する最終兵器だと聞いたが」
「確かにそうだけど!!意味合いが違うの!!とりあえず、君は相手の感情を理解しなきゃ!!」
「してるぞ?今だって其方の感情を考慮して質問に答えている」
「それやっぱり分かってないよ!!どうしよう。君を教師として学園に送るのは厳しいかもしれない。実力は折り紙付きだけど、常識が欠損してる……!!」
「実力には折り紙しか付かないのか?」
「強い、って意味だよ!!」
「そうか」
「君はどんな環境で生きてたのさ!?」
「そうだな。産まれたのは龍の胃の中だった」
「早速異常過ぎない!?っていうか、どうやって産まれたの!?」
「分からない。とりあえず、五月蝿い龍だったから切り裂いた」
「産まれた直後じゃなかったっけ!?切り裂けるの!?あれだよね。最下位に位置する超弱い龍だったとか__」
「黄金の龍だったぞ?ワンパンで穴が開いたが」
「最高位の龍!!?そして一発で穴開いたの!?」
「ああ。何でも、俺の身体に糸のようなモノが伸びていたのでな。本能で千切った」
「……………君、人間?龍じゃなくて?」
「人間だぞ?確かに、解放すれば龍になるが」
「解放!?何を!?」
「?今でも身体能力と魔力、技能は1000分の1程度に抑えているのだが?」
「君の実力可笑しくない!?1000分の1!?つまり本当の君は1000倍の実力!?」
「ああ。でも、最近はさらに上限が上がったような?多分、2000倍まではいけるはずだ」
「もうなんで君は人間なの!?辞めたら!?」
「存在を否定された!?」
◆◇◆◇◆
王立学園の教師になるためには、最低でも功績と常識が必要らしい。
功績は、勇者であるシュンの親友というだけで足りるそうなのだが、問題は常識、正確には知識だった。
_俺が持つ知識は、神話の時代の知識。この世界の知識とは大きく違うからな。
事実として、俺の扱う技能、魔法はこの世界では使えるだけで一生遊んで暮らせる。
先ほどの少年も、世界で見たら天才どころか神童とも呼ばれる類だろう。
_ふむ。ならば、技術改革は?
「すまないが、技術改革は駄目なのか?」
「技術改革?……………!それなら大丈夫なはずだ」
どうやら同じ考えに至ったようで、すぐに許可してくれた。
残すは、常識を覚えるだけだ。
さて、常識を覚える、といってもどうやったら覚えられるのか、なんて簡単だろう。
公爵家当主の男性と、その娘、少年、平民の誰か。執事かメイド。この全員に1日ずつ何をしているのかを見ればいいのだ。
それだけで、何処までが”日常”として浸透しているのかを知ることが出来る。
まあ、技術に関しては最初から期待はしていないから、見るのは何処まで退化していないのかだ。
これからの予定を立てたレイ。彼の進む道は、戦闘に関しては無敵だろう。
これから彼に築かれた道を、どうやって進むのかは、神のみぞ知るということだ。
ま、神(作者)も知らないかもしれないけど。
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