楽園へ架かる一本の橋が、世界の最果てにある。極限状況のストーリーを通じて、生と死、善と悪といった『境界線』が崩壊していきます。『それを言ったらおしまい』の境界線を、あえて超える世界観。だからこそ美しい。美は正義です。『透明な視点』を描く筆力は、夢見里龍さんならでは。透明な視点に着地していく過程には、単なる『救い』には無い、不思議な体温があります。デビュー前に書かれたとは思えない完成度、続編やスピンオフも読んでみたくなる世界観でした。
ラストでのタイトル回収が素晴らしいです。滅びゆく世界にわずかな希望を探す一人の旅人がたどり着いたユートピアへと続く橋。だがその橋には守り人がいて…。ダークファンタジーといいつつ、あまりダークでない作品が多い中、本作は本当のダークファンタジーです。この旅人の行きつく先を、是非ご覧ください。
ただの荒廃世界ものかと思いきや読み続けていくと深い設定が姿を見せてくる。オリジナリティあるSFを見たい方、短編なのでサクッと読めてお勧めです!
すべてを融かし滅ぼす黒い雨。その雨のせいで人類は争い、破滅の道を歩んでいた。そんな中、黒い雨の降らない≪楽園≫を目指す男がいた。だが、男は拒まれる。せめてもの慰めにと、男は一晩の休息を与えられるが……とても静かな物語です。ですが、短編アニメ映画でも見ているような気持にさせられます。善悪では語れない世界。ぜひご一読を。