大豆·ミーツ·ガール

@samekiti

第1話 大豆部

市立豆縞高等学校。約50年の歴史を持つ、由緒正しき高校だ。

この高校は、部活動に力を入れている事で有名だ。そして、生徒が部を立ち上げる事が多いという事で知られている。しかし、そうやって出来た部は長続きしないもの。廃部が多いということでも知られている。

そんな豆縞高校に入学したのが俺、曽井進一だ。俺は入学早々大きな問題にぶち当たっていた。

そう、部活選びだ。ここ、豆縞高校は、とにかく部活が多い。俺は部活紹介の冊子

を読みながら、ため息をついた。

「部活が多すぎる...」

サッカー部や、テニス部なんかの運動部はもちろん、将棋部やチェス部、オセロ部などの文化部もある。いや、この三つ纏めろよ。ボードゲーム部でいいだろ。

「どれにしようかなぁ...」

出来れば運動部は避けたい。体動かすの嫌い。

かといって動かないのもイヤ。「座禅部」とか。「瞑想部」とか。いや、あるんだぞ?この高校には。あと纏めろ。

「ラグビー部」 ぶつかるのは痛い。却下。

「書道部」字書くの嫌い。却下。

「昼寝部」...!一瞬心が揺らいだが、人としてダメになる気がする。却下。

「なかなか良いのがないなぁ...」

半ば諦めかけていた俺の目に、一つの部の名前が止まった。

「大豆部」

...?なんだこのふざけた部は。いや、「昼寝部」よりマシか。

大豆、大豆...大豆かぁ...あまり好きではない。もともと好んで食べる物ではない。

いや、しかし...面白そうだな、この部...

何故か、俺はこの部に強く惹かれた。まあ、もともと部なんてどうでもいいし、仮入部してみてもいいかな。と、軽い気持ちで俺は仮入部を決めた。

――この選択が、この後の俺の人生に大きな影響をもたらすとは知らずに。


と、いうことで、やって来ました「大豆部」。部室の見た目は、ごく普通だ。入り口の上に、「大豆部」と書かれたネームプレートがかかっている。少し古い。

俺は深呼吸してから、部室のドアに手をかけ、一気に開いた。

こんな名前の部だからと勝手に身構えていたが、中も案外普通だった。

部室の中で待ち構えていたのは、一人の少女。

「こんにちは、曽井進一さん。ようこそ、大豆部へ。突然ですか、あなたが大豆部に相応しいかどうか入部テストをしたいと思います。」

「...は?」

これが、俺、曽井進一と、「大豆部」の少女、大豆絵里花の出会いだった。



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