第5話 ジャンピングベイビー
・・・ガシャン!
カップの割れた音でアランは我に返った。目をこすり画面の数値を凝視する。彼は本棚から分厚い本をとってそこに書かれている数値と画面のそれを見比べてやはりそれが間違いないことを確認した。
「なぜだ・・・誰が・・・こんな・・・」
データは正確であり覆せるものではない。それはこれまでの実証実験が物語っていることである。
解析によって得られたデータは、アランが昔の研究で導いた理想的な跳躍を表す整数列、『跳躍数列』と完全に一致していたのだ。
「こんなものは自然界に存在し得ない。まさか・・・人工的に・・・」
アランの頭にはもうひとつの答えしか浮かんでいなかった。理性が認めることを拒否しても理論が正しいと言っていればそれは事実として認めるほかない。
「あのジャンピング清三は跳躍のために遺伝子操作された人間・・・ジャンピングベイビーだったのか・・・!」
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