小雨と少女と少しだけ
咳屋キエル
序章
十月二十四日の日記
十月二十四日
珍しいものを拾った。
不思議な眼の色をした子供。孤児のようだったから、取り敢えず家に入れてリビングで寝かしつけた。さっきトイレのついでに様子を見に行ったけど、よく眠っているようで安心した。
今日の収穫はあの子供一人だけだ。誰も殺していない。何も描いていない。一度も手首を切っていない。ただ寝て起きて何か食べてぼんやりして、これじゃあ駄目だからせめて散歩にでもと家を出て子供を拾っただけ。何もしていない。
ここまで一日を無駄にした日は珍しいなあ。明日は少しでも活動できるよう、今の内から俺も寝ておこう。
そういえば青い絵の具がもうなかった気がする。明日は絵の具を買おう。あと、ついでにあの子供に着せるものも。
(連続殺人犯フランツ・ミュラー=ヴィーラントの日記より)
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