ブウォシチェイェフキ日誌(2月9日)
〇世界を守ってくれ
昨日でタクティカルピストルコースが終わり、本日からタクティカルカービンコースが始まる。ピストルクラスで終了の訓練生も何人かいた。昨日散々話したイギリス人もその一人だ。「今日は違う迷彩だね」と声を掛けられる。本日の私の装いは、陸上自衛隊富士学校部隊訓練評価隊評価支援隊の迷彩(通称:対抗迷彩またはFTC迷彩)服を着用、アグレッサーグループのCSARチェストリグマーク2を装備していた。「ジャパニーズアーミーのアグレッサー迷彩だ」と答え、「俺は素人だが、装備はプロフェッショナルさ」と続けた。最後に握手をして別れの挨拶をする「テロリストを倒して、世界の平和を守ってくれ」と。
それにしても、対テロ部隊に所属するイケメンアニオタイギリス兵、好きなアニメは監獄学園とか設定盛りすぎだろと思いながら別れを告げた。
〇ニューカマー
タクティカルピストルコースのみのイギリス人とオランダ人が離脱し、タクティカルカービンコースから、ベルギー人2名、オランダ人1名、ポルトガル人1名、ケニヤ人1名が新たに加わった。ベルギー人1名とオランダ人1名は私物のカービンを所持してきた。ともにバレルの長さは10インチぐらい、ハンドガードはキーモッドであったが載せている光学照準器はそれぞれイオテックのホロサイトとトリジコンのMROであった。
新しい訓練生も含め、タクティカルピストルコースと同様にセーフティルールやシューティングスタンスを含めた座学から始める。座学が終わるとピストルと同様、弾を装填しないで動作の練習を行う、ドライファイアでの訓練である。今回のタクティカルカービンコースでは、1~2日目がAK47(ポーランド製、ハンドガードにピカティニーレール、マガジンは樹脂製)で3日目がAR系のSIG516を使用する。つまりドライファイアではAK47を使用する。クロックコードで向きを変えたりするなど、基本的にはピストル時と同じなのだが、私はAKを使うのが初めてだったのでAKの操作とクロックコードと英語の3重処理がなかなか大変であった。
ピストル同様、ドライファイアが終わった後に数発撃って終了した。タクティカルカービンコースは人数が多いため、ライフル1丁を二人で使うことになっている。まるでどこかの赤軍のようだ。
〇タクティカルディナーだ
前述したが、レバノン人20数名も別コースで訓練を行っている。彼らは食事の時間となるや一目散に食堂に駆け付け、カフェテリア方式で置いてある料理を片っ端から取っていき、我々が到着するころにはほとんどの料理が無くなっているという惨状が続いていた。するとルームメイトのセルビア人が「レバノンの奴らより先に行くぞ。タクティカルディナーだ」ということでタクティカルカービンコースの訓練生たちは一目散に食堂に駆け付け、レバノン人たちよりも先に料理を取った。急いで取っていたので私は少し肉を取り過ぎてしまった。我々が料理を取り終わったころにレバノン人たちが集団で現れて料理を取っていく。その様はまるでイナゴの大群が通りすぎ、野原が禿げ上がるが如くであった。
料理の横には、その料理が何なのか書いてあるプレートが立っている。例えば、「チキン」「ポーク」「ビーフ」「パスタ」「サラダ」といった形だ。イナゴの大群もといレバノン人たちは、英語が読めないのだろう何のためらいもなく「ポーク」を取っていく。それを見ていたオランダ人は大きく目を見開き、開いた口がふさがらない状態で「おぉ、ポーク…」と呟いていた。外人のポカーンとした表情など映画の中でしか見れなかったので貴重だった。ちなみに、レバノン人の中で英語が読める人間がいるのか、ポークやビーフは手を付けられずそのまま皿ごと返却されていた。
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