第14話 重装甲の獣型
【火星:訓練施設】
《戦闘訓練:第3期生》
高速で洞窟を抜けた第3期生5人はそれぞれに分かれる。まず戦闘を走っていた
「はい。サヨウナラァァァアア!!」
そして、両者態勢を立て直し向かい合いになる。
「(見た目は変わってないけど、私の動きに順応してきてる?)」
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そして、
「ほう。相当固いな」
重装甲の獣型の胸には、少しへこみができただけで何もなかったかのように立っている。怜雄も負けじと何度も打ち込むが微動だにしない。すると重装甲の獣型は、虫でも薙ぎ払うかのように手の甲で怜雄を軽くはたき飛ばす。
「うぐっ……。まったく、重てぇ裏拳だな」
「怜雄君大丈夫ですか?」
すかさず槐と
「ちょっと~、早く戻ってきてよー!!こいつ怖すぎるのっ!!」
その岩の棘を躱す重装甲の獣型だったが、さすがに全部は捌ききれず負傷していた。如何せん脚の装甲は薄く、そのうえ上半身の重装甲故、重量が増して鈍くなったためだろう。
すると玲一が何か案を思いついたのか美大にジェスチャーを送る。
「美大ちゃん!!そいつの周りにドーム作れますか?分厚目のドーム!!」
「時間はかかるけどいけるよ~☆」
そう言うと美大は岩の棘を作りつつ後ろに後退する。そしてある程度離れると片手に大量の光を集めだす。徐々に作っていくのではなく、一気に能力を展開してドームを作るようだ。
槐と怜雄は、美大のカバーをするため怜雄は重装甲の獣型に、槐は美大を目がけ走り出す。その短時間で玲一からある程度の作戦を聞いた。
「おいおい、本当にそれで倒せるのかよ」
「まぁやるだけやってみようか」
怜雄は玲一の作戦に疑問を唱えているが、今は即席のチーム。やるかやらないかではなくやってみる他ないのだ。
そして、槐が美大のところに到着すると、直接侵略で周りを囲む。これでよほどのことがない限り美大は何者にも侵されない。
「ありがとう槐さんっ。それとね私今、片手しかないからまだ時間かかりそう」
「分かった。準備できたら教えてね」
槐は怜雄と玲一のフォローに向かう。玲一は、中距離でライフルを撃ち、獣型の注意を引きつつ、周りを警戒しているようだ。美大の事件以降、人一倍警戒しているようで、ほぼ常に
怜雄に関しては脳筋戦法をずっと繰り返しているが、胸以外の所を狙っているのでそれなりにダメージを与えているようだ。獣型も負けまいと怜雄の真似をし、1人と1機はまるで殴り合っているかのようだった。
槐は、注意が削がれた瞬間を狙い重装甲の獣型の機能を侵略しに行くことを決める。
「僕が機能を
「任せな」
「わかりました!!」
まず玲一が動く、獣型が攻めてこられない距離からの乱射。獣型が完璧に玲一の方に気が向き、突進してくる体勢に入る。重装甲を活かしたシールドバッシュ的な攻撃だ。
「怜雄さん、今です」
「正拳ッ!!」
玲一が合図すると、怜雄が獣型の顔面横に重い正拳を放つ。そして、払い蹴りを見事に決め相手は俯きに倒れる。
「いけるか槐!!」
「ぎりぎり間に合います」
起き上がろうとする獣型に槐は後ろから接近し、左脚に両手で掴むように触れる。
「侵略!!」
尻尾で攻撃されながらも、前回見た攻撃なので何度となく躱し、左脚の機能を
侵し制御不能状態にする。1つの作戦が完了し、反撃される心配もあるので槐は一旦引く。
左脚の機能を失った獣型はバランスを崩し横に倒れる。
「とりあえず左脚を使えなくさせましたよ」
「もっといけたんじゃねぇか~?」
怜雄が槐をおちょくる。槐はジェスチャーで手を左右に振ると怜雄は少し笑い、また攻撃を仕掛けるため拳を構える。すると、美大から通信が入った。
「準備できたよ。いつでもいけるぜいっ!!」
なんだか美大ちゃんテンション高いなっと思いつつ、槐は美大にドームの作成を要請する。
「ナイスタイミング美大ちゃん。もうやっちゃっていいよ」
するとものの数秒で出来上がり、片足で起き上がる寸前だった獣型を岩のドームが覆いつくす。まずは玲一が考えた作戦の大きな1歩目が完了するのだった。
【解 説】
〇模擬戦闘兵器:獣型β(重装甲の獣型)
梨花や美大の攻撃を主に上半身に受け、従来の獣型が学習し変形したもの。従来の獣型よりも防御力面が強化されているが、攻撃面が落ちた模様。それに、速度も遅くなった。
主に近接戦闘を攻撃手段とする。
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