第9話 直接侵略
【火星:訓練施設】
《戦闘訓練:
ガギンッ。
「ア゛ア゛アアァァァアア゛ア゛!!」
分かち合う槐・
気づいたのは美大が獣型に右腕を噛み千切られた時。一瞬何が起こったのか理解できなかったが、噛み千切られた腕を見てようやく理解した。美大がやられた...。
「あ、あぁ……なんで……」
「一旦引くぞ玲一!!」
未だ悶絶している美大を槐が抱え、玲一に指示をする。だがそれを獣型は許さない。一瞬で槐たちに追いつき槐たちに一撃を加えようとする。それをギリギリで避け、獣型の一撃が地面に当たり砂煙が舞う。
「クソっ!! まじかよっ」
さっきまでの戦いでは壁という盾があった分、多少マシに戦えていたが、今は美大がやられた分盾がなく非常にキツイ状態である。それに加え、一瞬で追いつく俊敏性。明らかに先ほどまでの獣型とは違った特性を持っていると考えられる。
「こうなったら使うしかないか。玲一君先に前へ行って」
「どうするんですか?! あっそうか!!」
槐は
体勢を立て直した獣型は、一番後ろにいる槐目がけ一蹴りで近づく。だが途中で何かに当たったかのように勢いよく弾き飛ばされ、大きく右に逸れ体勢を崩し地面へ激突する。
「上手くいったな」
「これで時間が稼げますね」
玲一が嬉しそうに顔だけ振り向ける。
地面に突っ込んだ獣型は未だ起き上がる様子はない。だけどアナウンスが流れないあたり撃破には遠く及んでいないらしい。すると、前方から今日何度も見た眩いほどの光を纏った人たちが槐たちの前方に現れる。
「大丈夫ですか?! 叫び声を聞いてすぐ駆けつけてきたのですが」
「美大ちゃんが不意打ちを受けてしまって」
「こりゃひどいな。んっ? 意識はあるのか」
いつの間にか槐の横に来て、美大の様子を見ているのは
「途中で見かけたので私が連れてきました」
「かなり強引だったがな」
腕を組み、梨花と怜雄がにらみ合う。一体何があったのやら。
すると、玲一がにらみ合う二人の間に入る
「そんなことよりも早く逃げないと!! ものすごく速く動く獣型がすぐそこにいるんですよっ!!」
そうだ。先ほどまで俺ら3人は追われていたのだった。
玲一が能力を使い、獣型が突っ込んだところを確認する。
「あれ、消えてる」
玲一があれっ?あれっ?っと言いながら一生懸命探す。
だが近くには影の一つも見当たらなかった。
「恐らく先ほどまであなた方を追っていた獣型は逃げたのでしょう。そこで少しお話があります」
梨花が低い声色で語りだす。
【補 足】
〇直接侵略
槐の侵略者のもう一つの能力。直接侵略は、槐自身が良しと認めているものについては効果がなく、敵と認識しているものには効果があるというものです。
〇オルター・チューン
美大がなぜ腕をなくしても意識があったかは後々出てきます。
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