第二十二章 二次元の対決!

「うわーっ! こいつはか!?」


 二次元の天井を突き破るほどの高さにまで大きくなった。さすがレベル2000のパワーはもの凄い!

「もう終わりだ。今度こそ地獄へ送ってやる」

 天井から響くように声がする。敵が、こんなに巨大化するとは思ってもいなかった、これは「想定外」だ。こんな化け物とどうやって戦えばいいのだ?

「みんなで協力して戦うしかない!」

 秋生が覚悟を決めたように叫んだ。

 ナッティーはバズーカ砲より、さらに強力なロケット砲を肩に背負って、大魔神深野に打ち込んだ。

「うりゃああああああああぁぁぁ―――!」

 連射されたロケット砲がさく裂して火の手が上がる、だが敵はこたえている風もない。

 深野は魔法の杖を使って、天井からいかずちを降らしてくる。先ほどのモンスターの赤い火の玉と違って、きちんと的を射て降ってくるのだ。

 それでも大魔神には痛くも痒くもない、まったくダメージを与えられない。


「ウザい女めぇー」

 魔法の杖をふり上げた。

「ナッティー危ない!」

 青いオーラでバリアーを張って秋生が、間一髪でナッティーを助けた。だが、次の瞬間、秋生が雷の犠牲となった。激しい電流で身体を焼かれ、真っ黒になった彼のアバターからは白い煙が立ち上っていた。秋生が倒されたら誰も回復技を使えない、もう後がない!

「秋生くーん!」

 ナッティーの絶叫が聴こえる。

 必死で敵の脚やら脛に僕は『無敵の剣』で切り込んだが、まるで歯がたたない。――まるで一寸法師と大鬼の戦いだ。

 レベル300では傷ひとつ付けることができない。巨大な脚で払われて、僕は数百メートルふっ飛ばされて、おもいきり地面に叩きつけられた。クラクラする頭で考えていた《自分は敵に殺られても、ナッティーだけは助けないといけない……絶対に!》僕は立ち上がり『無敵の剣』振り上げ、敵に向かって突進していく――。

「メーンヤァー!」

 剣道の掛け声で僕は気合を入れた。

 その声に共鳴するように『無敵の剣』は刃の先から真っ赤なオーラを放ちパワーアップした。そのままジャンプして、敵の顔面に「メーン!」と一本入れた。

 その攻撃技には大魔神の深野もクラッときたようだった。

「うるせいっ! この蠅がぁー」

 今度は僕に向けて、雷の攻撃を集中的に仕掛けてくる。その後は逃げるのが必死だ。ナッティーと秋生はどうなったんだろう? もう考えている余裕もない!


 その時、僕の耳の中に声が聴こえてきた《ツバサ、深野のパソコンを壊してくれ》

「えっ!?」それは秋生の声だった。《三次元に肉体を持っているのはツバサおまえだけだ。三次元に戻って深野のパソコンを壊してくれ……頼む……》虫の息のような声で、秋生が懇願していた。

 三次元に戻るとすれば、深野のパソコンから向う側に戻るしかない。もう時間に余裕がない。このままだといずれ三人とも殺られてしまうから……。

 一か八か!? ヤルっきゃないっ!

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