第14話

 そして、もっともっと大きな収穫があった。

 思い出すだけでニヤけてくる。

 橘さんが、放った魔法の言葉で俺はさらに昇天する。


「デートしましませんか?」


「はい?」


 俺の声が、思わず裏返ってしまった。


「明日、お仕事お休みですよね?」


「あ、はい」


「じゃ、デートしましょう!」


 恐らく、『デート』という単語を聞くことのはテレビ以外で初だ。

 モテない男はいつまでたってもモテない。

 だから、『デート』の魔法の効果は高い。


「あの……」


 おっと妄想している場合じゃなかった。

 俺は、すぐに返事をする。


「うん?」


「遊園地でもいいですか?」


「え?」


「デートの場所……

 遊園地でもいいですか?」


「はい」


 そして、爆発寸前の心臓を抑えながらデートプランを一緒に考えた。

 全てリードしてくれた。


 その後、直ぐに電話は切れお互い待ち合わせの時間まで眠ることにした。

 でも、緊張してあんまり眠れなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る