ベルゼブブ

うみぜり@水底で眠る。

朝:全校集会

 端的にいって、俺は、あの女の事が嫌いだった。

 

「えーと、はい、正直、良く分からないので……今後も助けて頂けると、えと、とっても嬉しいです!」

 

 朝の全校集会。

 うちの高校では週に一度、月曜の朝にやるそれは、必ず生徒会が今後一週間のスローガンやら何やらを語る。

 体育館の壇上で、生徒会役員の面々が一人ずつ、それぞれの抱負を語るのだ。

 庶務、監査、会計、書記、副会長、そして会長の順に抱負を語る。

 皆、一応生徒会役員を務めるだけあって、それなりの事をそれなりに語る。

  

 たった一人、今壇上にいる女を除けば。

 

「これからも、一生懸命頑張ります!」

 

 握り拳を作って、まるで内容が無い意気込みだけを語る、無能な副会長、望月あかり。

 

 容姿端麗、八方美人。

 しかし、成績は並で、スポーツに至っては、丸で出来ない。

 喜怒哀楽がハッキリしてて、勉強もスポーツも出来ないけれど頑張り屋で、誰に対しても笑顔で接する、とびきりのリベラリストでフィランソロピスト。

 みんなが愛する、清楚で可憐な生徒会副会長様。

 

 ……と、いう事になっている。

 

 重ねて言う。

 俺は……宮野和也は、あの女の事が、嫌いだった。

 

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