第6話 立たずの剣

 『超月銃スーパームーンガン』を魔人創造者デーモンメーカーに放ったハルチカとルーナは暫くその余韻に浸っていたが、


 二人の星力せいりょくも底を尽きかけ、


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「あっ!」、とルーナは名残り惜しそうに、


 ハルチカの意識は、地上に戻りハルチカは疲れと疲労により大地に膝不味く、


 ガクッ、


 その時、ハルチカを呼ぶ小さな声、『ハルチカ、聞こえるか。』


 チンの声は小さく、か細い、


 ハルチカは不思議そうに、「聞こえるけど、どうしたの?」


『ヤバイ、『星体位離脱せいたいいりだつ』で星力せいりょくの殆どを使い果たした、俺は星力せいりょくが戻る迄、眠る!だからハルチカ、後は上手くやれよ、じゃ、おやすみ。』


(↓)゜゜゜ぐうぐうぐうぐう


 チンが寝てる! 


「えっ!本当に寝ちゃったの?」


( ; ゜Д゜)


 ハルチカは唖然としてその場に立ち尽くすのであった。




 回りは突如大空に起こった大音響と大光球に大騒ぎとなり、


 誰もハルチカの異変には気付かなかった。


 いや、只一人、コーネリア・ロンディーヌは気付いていた、彼のチンが巨大な光球が出現した時、しぼんでしまった事を、


 彼女は誰にも聞こえない小さな声で一人呟く、「・・・・・ケンの、ケンの摩導士!」


 暫くして巨大な光球が薄くなりやがて静かに大空に溶け込むように消えると、天空より小さな光球がゆっくりと落下し、


 小さな光球が大地に到達すると光は消え、その中心に立っているのは、飛翔星騎士団団長にして、公国、第二公女、姫騎士 ルナリィア・ウェルド、その人であった!


「大将!」、とリナが大声で、


「ルーナちゃま」、とチビウサが、


 二人はルーナの元へと駆け寄り、


 ルーナは、変身の解けた自分自身の姿を確認し、下を見た瞬間、


「きゃぁ!!」、とうずくまった。


 彼女の飛翔騎士団の制服のロングスカートとズボンは魔人創造者デーモンメーカーに破られて、彼女の大事な部分がモロ見えの状態であった!


 リナとチビウサは直ぐにルーナを取り囲み、騎士団員に毛布を持って来るように指示を出した。


 そんな慌ただしい現場から、一人立ち去るハルチカ、


 ハルチカは、自分がルーナさんの可愛らしい、「きゃぁ!」やモロ見えの状態を見ても、


 自分のチンが1ミリも反応しない事にショックを受けていた。


 自分はケンを失った、


 ハルチカは落胆と深い絶望感に襲われ、


 傷心のハルチカにとってはそれ以上に、美しく光輝く、けれど恥じらいながらリナとチビウサに対して何か会話しているルーナの姿を見ている事に耐えられなくなり、一人その場を離れるのであった。


 ルーナも、立ち上がるとモロなので動く事が出来ず、しゃがみながら目でハルチカを探したが、回りに飛翔騎士団の隊員達が集まり、リナやチビウサも集まって、一瞬ハルチカの寂しげな後ろ姿を見たルーナは、ハルチカの名前を呼ぼうとしたが、リナやチビウサの質問責めに遮られ、


 ハルチカを見失ってしまった。


 それを境に二人は二度と会うこともなく、


 三日後、飛翔巡洋艦『ブリンシブァ2』は摩導庁に事の顛末をルーナ自身が説明する為に、西の公都バルドリスへと飛び立っていった。




 ハルチカの日常は元にもどり、いや、前より悪化した、今まではクラスの目立たない普通より下の男子生徒のハルチカだったが、


 事件以降、此の事件の首謀者がハルチカではないのか?とう噂がまことしやかに囁かれ、


 その証拠が、その時、たまたま偶然なのか、全校生徒の中で学校に居なかったのがハルチカだけであり、ハルチカはその時、何をしていたか一切いっさい誰にも言わず、また、誰かが、飛翔騎士団員達がハルチカの名前を言っていたとう話しをしたため、


 エミリアにフラれたハルチカが腹いせに禁じられた召喚摩導を行い、その摩導が失敗して魔物が召喚され、たまたま、此方に来ていた飛翔騎士団がその魔物を討伐した。


 其が真実だと言う事にバンチニア高校ではなってしまった。


 ハルチカはクラスの中で、学校中で孤立するようになった。


 心配した教職員が、ハルチカを呼び出し、事件当時何をしていたのかの聞き取りをしたが、ハルチカはルーナさんの事を他人に話しても信じてもらえない事を理解している為、召喚摩導を行った事だけは否定したが、町外れの森での一時ひとときの出来事は、教職員にも決して話さなかった。


 中庭や校舎の外壁の損害は摩導庁が負担し、三人の女生徒以外は魔物からの被害が無かったので、教職員もそれ以上はハルチカを深く追求する事は無かった。


 そして、三月の終わり、ハルチカが十六才になり、彼の摩導科、一年生の生活が後二週間で終わる頃、


 あの、魔人創造者デーモンメーカーがバンチニア高校を襲撃してから三週間、


 ハルチカは、魔人創造者デーモンメーカーの被害者の一人、コーネリア・ロンディーヌに呼び出された。


 彼女も、あの事件以降、実際は何も無かったが、魔物と初体験したような噂が全校に流れクラスナンバーワンの座をエミリア・ドルネッサに奪われ、三人もハルチカと同様にクラスでは孤立していた。


 ダンバード・グラスタはコーネリアとは何の関係もなかったと宣言し、彼女もその事にたいしては否定しなかったので、ダンバードとエミリアはクラス公認で付き合うようになった。


 そして、その日、学校に有るハルチカの摩導ロッカーの中にコーネリアからの呼び出しの招待状を見た時、


 ハルチカは遂に来る時が来たと思った。


 コーネリアはクラスで一番の摩導法の使い手、その実力は大学生のトップレベルと言われていて、教職員からも一目置かれていた。


 そんな彼女だったから、摩導鍵の掛かったロッカーに招待状を入れる事は容易たやすい事だし、よく今まで何もしてこなかったなぁと逆に感心するハルチカだった。


 ハルチカは今回の事件に自分が全然無関係だとは思っていなかった。


 だから、彼は事件の首謀者が自分だと言う噂を耳にしても、あえてそれを否定する事はしなかった。


 彼には自信が無かった、あれ以降、チンは一言も喋らず、二度と立ち上がる事も無かった、


 何故、あの時、チンは突如喋り出したのだろうか、何故、自分が座っていた石から魔人創造者デーモンメーカーが産まれたのだろうか?


 本当に自分は関係無いのだろうか?


 分からない事と自責の念が、ハルチカ自身の心を押し潰そうとしていた。


 ハルチカは思っていた、被害に遭ったアンリ、ドリス、コーネリアは自分の事を死ぬ程憎んでるよなぁ、何時か僕は彼女達に呼び出されて、罵詈雑言や非道な復讐を僕にするよなぁ、呼ばれた場所に恐い兄さん達がいて、彼等に袋叩きにされちゃうのかなぁ、コーネリアの家、金持だし。


 良い事は一つも思い付かないハルチカだった。


 しかし、ハルチカは逃げるつもりもスッポカスつもりも無かった、自分が三人に会い、其処で自分が謝る事で三人の気が張れるなら、自分は何度でも彼女達に謝ろう、そうゆう気持ちにハルチカはなっていた。


 招待状には、待ち合わせ場所である、町の中心の繁華街にある高級レストラン『レ・ルトラン』に、其処で個室を予約しているから此の招待状を持参して、指定した時間に来てくれと記載されてあった。


 そんな高級レストランに行った事の無いハルチカは、着ていく洋服も無いので、学校のグレーのジャケットと紺のズボンで行く事にした。


 ハルチカは『レ・ルトラン』のホールで受付のウェイターに招待状を見せると、ウェイターは彼を二階の個室に案内し、ウェイターが扉をノックして、中から、「どうぞ。」と言う、コーネリアの声が聞こえると、彼は個室の扉を開けて、ハルチカに個室に入るように指示をした。


 ロココ調の個室は広く美しく、外に面した壁には明かり取りの為の小さな窓しかなく、手前にマホガニの大きなテーブルと奥には二人が充分に寝転がれるソファーベッドが置かれていた。


 マホガニのテーブルに座っているのはコーネリア、只一人で、てっきり三人からの吊し上げを覚悟していたハルチカは、ちょっと拍子抜けしたが、


 コーネリアは白のワンピースに胸に赤と青のコサージュを付け只でさえ美人でプラチナブロンドのコーネリアが逸そう、ハルチカにとっては美人に見えた。


 ズキッ!


 しかし、ハルチカにとって、白と青、そして飾りの赤はルーナを思い出す色であり、


 もう二度と会えない一時の恋人を思い出して、胸が痛むハルチカであった。


 そんな、気分が悪そうなハルチカを見たコーネリアは、「どうかなさいました?」と声をかける。


 ハルチカは気を取り直して、「大丈夫です。」と答えた後、コーネリアの対面の椅子に腰掛けた。


 テーブルには、美味しそうなショートケーキと紅茶が用意されていて、コーネリアはハルチカに御茶とケーキを勧める。


 ハルチカは紅茶を一口啜ると、「ロンディーヌさん一人なんですか?僕は今日はてっきり、三人がかりで僕に対して文句を言うと思っていたんですけど。」


 コーネリアは不思議そうな顔をして、「私達が貴方に文句ですか?何故、私達が貴方に文句を?」


 ハルチカはかたくなに、「だって、君達はあの事件の被害者だろ!首謀者の僕に対して恨みや文句が有るんじゃないの!」


 コーネリアはハルチカを暫く見詰めていた後、「確かにアンリはコーデルさん、貴方が今回の事件に対して怪しいと言っていたわ、たぶんその言葉がクラス中に広まったのね。」


 ハルチカは頷きながら、「だから、ロンディーヌ!君もあの事件が僕のせいだと思うから、今日、此処に僕を呼び出したんだろ、僕に対して文句を言う為に!」


 興奮しているハルチカに対してコーネリアはサラリと、「あの事件は別に気にしていないわ、本当に何も無かったし、どっちみちあの程度の魔物では、私に手をだす事は出来なかったと思ってるし。」


 ハルチカは驚いて、「えっ?」


 コーネリアは更に続ける、「今日、コーデルさんとお話をする段取りをしたのは、私の祖父と此の三週間、いろいろと打ち合わせや話し合いをした結果、やはり、貴方と私は話し合う必要があるとう結論になったからよ。」


 ハルチカは呆けた表情で、「はぁ?」


 コーネリアはハルチカを直視しながら、「コーデルさん、いえ、ハルチカとお呼びしたらいのかしら、ハルチカは剣の摩導皇コーリン・オーウェルが、今の時代に私達の知らない場所で存在している事を、私達に貴方は隠していますね!」


「えっ!!!」


 ハルチカは自分のチンの名前をコーネリアに言われて驚愕する!


 コーネリアはハルチカの表情を見て確信した、「やはりハルチカはコーリンの事を知っていて、今回の事件に伝説の剣の摩導士、コーリン・オーウェルが関わっている事も全て知っているのですね!!」


 ハルチカは焦って、「しっ、知らないよ!僕が知ってるのは、誰でも知ってる、絵本やお伽噺の英雄のお話だけだ!!」


 例え口がけても自分のチンがコーリンだったと言えないハルチカだった。


 コーネリアは焦ってバタバタしているハルチカを暫く黙って見ていた後、決意するように、「ハルチカ、私の祖父は東の隣国、ポワジューレ共和国で摩導研究所の主席研究員をなさっていて、其処で伝説のコーリン・オーウェルの研究をしています。」


 コーネリアは言葉を区切って、「貴方もご存知だと思うけど、コーリンには謎が多いから、世の中にはコーリンを研究する人は結構いて、私の祖父もその一人よ。」


 ハルチカは知らばっくれて、「へぇ、そうなんだ。」、と一言。


 コーネリアは続ける、「世界中にある二千年前にほろびた六星大国の遺跡からは六星の武器、銃、杖、槍、弓、斧、盾は出てくるけと、剣だけは出てこない事をハルチカは知っていたかしら!」


 ハルチカはその事は本当に知らなかった、「へぇ、そうなんだ。」と言いながら、落ち着く為にテーブルの紅茶が入っているカップを手に取り、紅茶を一口、口に含む。


 コーネリアは、「ハルチカ聞いて、千の剣を使って魔神と戦ったコーリンの剣が、破壊された剣や使い古された剣さえ、遺跡から一本も出土しないのは絶対に可笑しいと祖父は考えていたわ。」


 ハルチカは相槌を打ちながら、「へぇ、そうなんだ」と言いながら紅茶をもう一口啜る。


 コーネリアは必死の眼差しで、「祖父の考えは、コーリンは実は剣を使って戦っていなかったのではないか、コーリンが使った伝説の剣とは、」


 ハルチカは更に紅茶を啜る。


 ズズズズズズ


 コーネリアは大きな声で、「祖父の考察はコーリン・オーウェルの剣の本当の正体は、彼の男性自身である!!!」


 ブッツツツツツツ!!


 ハルチカは盛大に紅茶を吹き出した!!!


「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!、ご、ご、御免、コーネリア、」とテーブルを吹き出した紅茶で汚した事を謝り、テーブルに置かれていたナプキンで紅茶を拭き取った。


 ハルチカの動揺を見たコーネリアは、「やはり、そうだったのね!祖父の学説は正しかった。」


 ハルチカは慌てて、コーネリアの話しを否定した、「ちぃ、違う!コーネリア!僕は余りに君の話しが荒唐無稽だったから、其で!」


 コーネリアはそんなハルチカを暫く見詰めてから、「ハルチカ、祖父がコーリン・オーウェルを研究するようになったのは、私の為なの。」


 話しの話題を変え始めたコーネリアに対して、ハルチカは気持ちを押さえる為に、ショートケーキを一口、口に入れた。


 コーネリアは言葉を噛み締めるように、「ハルチカはコーリンの伝説に、彼が千人の女性を救ったとう、い伝えがあるのをご存知かしら。」 


 ハルチカは人生で一度も食べた事が無い甘くて美味しいショートケーキに気を取られて、確かチンがそんな事言ってたなぁ、と思いながら、もう一口ショートケーキを頬張った。


「ハルチカ、もう一つ聞くわ、貴方は『封印乙女キャステリィガール』をご存知かしら?」


 ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!


 ハルチカはケーキを喉に詰まらせた。


 コーネリアは、そんなハルチカを見て更に確信を強める、「やはり、ハルチカは『封印乙女キャステリィガール』も知っているのね。」


 ハルチカは再度、慌てて否定する、「そっ、そりゃ知ってるよ、常識だろ!」


 ハルチカ、そんな常識は無い!


封印乙女キャステリィガール』とは魔人のタネを植え付けられないように生まれた時、Φを摩導術で封印した娘の呼び名だ。


 コーネリアはハルチカの返事を無視して、「知ってるなら、話しは早いは、『封印乙女キャステリィガール』の封印を解くことが出来るのも、高位の聖職者か皇族か公族だけと言う事もご存知ね。」


 ハルチカは落ち着きを取り戻して、「いっ、一応。」


 コーネリアは続ける、「此の摩導術の厄介な所は、祖先が此の術を解除しないまま亡くなると、より術は強化された状態で、何の関係も無い子孫に発症する事があるの。」


 ハルチカはコーネリアが何を言いたいか分からなかった。


 コーネリアは目を伏せながら、「発症した女性は『封印乙女キャステリィガール【極】きわめ』と呼ばれ、此の状態では高位の聖職者や皇族、公族でも解除出来ないわ、出来るのは世界で只一人、コーリン・オーウェルだけよ!」


 バン!


 ハルチカは立ち上がり、


 その拍子に椅子が後ろに倒れる。


 ハルチカはコーネリアが何を言いたいのかようやく理解ができ、「コーネリア!まさか、君は!」


 コーネリアはハルチカを真っ直ぐ見詰めながら、「そうよ、ハルチカ、私は、『封印乙女キャステリィガール【極】きわめ』よ!」


 コーネリアは問い詰めるように

 、「『【極】きわめ』を発症した女性に対して、男性は決して劣情を起こす事は無いのよ、ハルチカ!」


 ハルチカは思い出す、自分がコーネリアに対してズボンから飛び出るくらい発情した事を!


 その状況が何を意味するか、私は知っている、そうコーネリアはハルチカに訴え続けていた。


 ハルチカは言い訳を捜し、「そっ、そうだ!ダンバード!ダンバードがいるよ!だってコーネリアはダンバードと付き合ってたんだろ!!」


 コーネリアはクラスナンバーワンのイケメンと付き合っていた事に対して、「私が彼と付き合ったのは、私がコーリンの力を捜していたからで、結果は彼にはコーリンの力は無かった、ただそれだけよ。」


 ハルチカは愕然がくぜんとして呟く、「コーリンの力!」


 コーネリアは頷きながら、「そう、正確にはコーリン・オーウェルのつるぎ


 ハルチカはこみ上げて来る絶望感を必死に押さえながら言葉を絞り出した、「コーリンのつるぎ・・・それってまさか!」


 コーネリアはしっかりとハルチカを見詰めながら、「そう!貴方が持っているつるぎ、そして私を絶望の地獄から救ってくれるつるぎ!!」


 そして、あの日、自分の元から失われたつるぎ


 ハルチカは決意した、もはやこれ以上、コーネリアには隠し通せない!


 ハルチカはコーネリアの前に立ち、コーネリアに対して土下座の姿勢で、


「御免!コーネリア!僕は君を救う事は出来ない!僕はもう立つ事が出来ないんだ!」


 コーネリアは驚いて、「えっ!」と小さな叫び声「立つ事が出来ないって!まさか、・・・」


 ハルチカは顔を伏せながら絞り出すような声で、「あの、あの事件の後、僕は、僕は立たなくなってしまったんだ、だから、だから、僕は君の期待に答える事が出来ない!!」


 コーネリアの表情は蒼白になり、「立たないって、そんな、そんな、」


 ハルチカはそれ以上、語る言葉が出ず、希望から急転直下、絶望のドン底に落ちたコーネリアも話す言葉が無く、


 二人だけの個室は、コーネリアが期待して、お洒落して、そして今日、自分は変わる、そう決意して、此の部屋を予約し、


 だかそれは、彼女にとっては、はかない夢でしか無かった。


 二人だけの沈黙の時は過ぎ、ハルチカはそれ以上は男として、辛くて耐えられなかったので、立ち上がり黙ってコーネリアから離れて、部屋から出る為に、ドアのノブに手を掛けた時、


「私は諦めないわ、ハルチカ」


 ハルチカの手が止まった。


 コーネリアは再び話しだす、「二千年前、コーリン・オーウェルは二千年後の世界を救う為に自分は再びよみがえると予言をし、」


 ハルチカは、コーネリアに背中を見せながら彼女の話しを聞いていた。


「今!世界中の星が動いているのハルチカ!!世界は再び混沌に成ろうとしているのよ!だから、だからコーリンが復活する事も必然、そして全ての星は此の地に集まろうとしている、だからハルチカ!」


 ハルチカは再び、「本当に御免、コーネリア、・・・全ては今の僕には・・・関係の無い話しだ・・・」


 そうコーネリアにうとハルチカは彼女を一人残し、『レ・ルトラン』の個室から外に出るハルチカであった。


 ハルチカの頬は涙で濡れていた。



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