なんでも知ってるお姫様とゆかいな問題たち
aillu
プロローグ
プロローグ
高校生活――
それは、少年少女が人生のなかで最も輝く時期である。
勉強、部活、恋愛、友人と遊ぶことや、趣味に没頭する者もいるだろう。賛否両論あるだろうが、少なくとも僕――
高校生活――
それは、少年少女が人生のなかで最も多く失敗をし、悔いる時期である。
隣の席の女の子にすこし優しくされただけで舞い上がり、勢い余って告白して惨敗したり、漫画やアニメ、ライトノベルにハマって自分は隠された力を秘めていると勘違いしたり。
多くの失敗や、やらかしを今後の人生の糧としていく重要な期間でもある。
以上のことから、良くも悪くも高校生活は、様々な可能性に満ちた、すばらしいものであると、僕は言いたい。
そうなると必然的に、大なり小なり問題が起こる。部活同士のいざこざとか、振った振られたとか、学園内の七不思議だとか、そういったものが付いてまわる。
やっかいなことに、そのような問題を好む人間が、少なからず、いや、かなり希少なのだろうが、存在するのも確かである。それが良い悪いということを言いたいのではなく、巻き込まれる身にもなってほしいという意味だ。
まさに彼女がその典型例である。彼女には知らないことはほとんどない。学園内の全生徒の名前、年齢、生年月日、血液型、住所、家族構成、部活、委員会、定期テストの成績、好きなアーティストから使っている携帯の機種まで、すべての個人情報は彼女の手の中にある。
それは生徒の情報に留まらず、学園内のこと、ものはすべて彼女のテリトリーである。
そう、僕らの既知は彼女の既知であり、僕らの未知は彼女の既知なのである。
だが、彼女の既知が届かない範囲は存在する。それは未来である。彼女の知っていることはすべて過去であり、これから起こる事までは知ることができない。
そして彼女は未知を愛している。未知を追い求め、未知を既知に、未知を食すために生きていると言っても過言ではない。
そこで彼女は学園内の問題、トラブルを収集するようになった。自分の手の及ばない、未知を既知に変えるため、自分の持つあらゆる情報を駆使し、そこから答えを導き出す。
未知の究明。問題を解決するのではなく、正体を明らかにする。それが彼女の高校生活の輝きだと思われた。
だが、それは僕と彼女の出会いによって大きく変わってしまったらしい。本当に…、本当に迷惑なことに。
さて、長くなったが物語の幕を上げよう。黒百合姫と呼称される未知の究明者である彼女と僕の、トラブルにまみれた物語を。
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