Epilogue 果実の行方 -Who gets all-
「……
夢幻の海上都市――最後まで囚われたままだった
本当なら彼女は今もエクスピアの医療施設にいるはずなのだから。こんな戦地のど真ん中にいていいはずがない。
「何、で……」
誰かが彼女をここへ運んだ?
一体誰が? 何の目的で?
「……ユウ」
虚ろな瞳にユウトの姿を映し、彼女は懐かしいその呼び名を口にした。
もう一度、聞くことをこがれたその声で。
「……ッ」
けど嬉しいはずなのに、底知れぬ不安が彼の脳裏をよぎる。
その最たる要因――それは全能の果実に他ならない。
「やめろ……」
「やめろ!
そして――
「ん……」
ゆっくりと、
次の瞬間、凄まじい魔力の余波が周囲一帯を席巻する。これは間違いなく、魔力の暴走だ。
「うっ、んっ……!!」
うずくまる彼女の背中からは巨大な黄金樹が生え、一瞬にして天を覆った。
体の中で暴れ回る魔力の奔流。それ自体が黄金樹を体現し、乱れ狂う。その余波は瞬間的にいくつもの嵐を生み出すほど苛烈にすぎた。
しかしそれも束の間、あれほどまでに暴走していた黄金樹はピタリとその動きを止め、捻じれ、折れ曲がり、そして全て彼女の中へと収まったのだ。
「……!?」
災厄が如き嵐が過ぎ去った静寂の中、ユウトが目にしたのはいつかのように鮮血が如き赤色の輝きを宿す魔瞳。
人々の総意、そしてそれを喰らった碧眼の
「ッ……
世界が震えるほどの衝撃で音が消し飛ばされ、キーンという耳鳴りだけが取り残される中、我に返ったユウトは声を張り上げ、彼女の名を叫ぶ。
走り、その手を限界まで伸ばした。
「――――――」
「ッ……!!」
そうしてユウトは気付く。
彼女の唇が僅かに動いたのを。
何かを伝え――
直後、ユウトを阻むように光が破裂した。
「
彼女が紡いだ言葉の意味を考える時間もなく、彼らの世界は夜の闇を吹き飛ばすほどの真っ白な閃光に塗り潰されていく。
第六章 黄金闘国 エデン -The singularity of Eden- 完
=====
これにて6章完結です!!
ここまでお読みいただき誠にありがとうございました!
次週はプロット整理のため更新お休みさせていただきます。
7章は過去少しだけ登場したリュゼやジーザスが属する五星教会関連のお話になる予定です!
それでは次の更新もよければよろしくお願いします!
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