第4回カクヨムWeb小説コンテスト(キャラ文芸部門)

皆さんこんにちは、あさかんです。


 Webコン4の特設メッセージを読んでいて、ふと気づいたのですが、今回の部門別メッセージの冒頭は全て、

『※求める作品傾向には一見相反する要素が並んでいるように思われるかもしれません。ですが、世の中には様々な作品が存在するように、各編集部のレーベルカラーによって、出版したいと思う作品の内容もまた変わってきます。そのため、あくまでも一例としてお読み下さい。』

とのコメントがあります。


 私も以前まで特設メッセージにおいて矛盾する内容のものはしれっとスルーすべきと考察しておりましたが、このような注釈文を入れておられるところをみると、他の方も同じような感想を持っていたのだなと思いました。


 矛盾だ矛盾だと騒ぎ立てていた私が言うのもなんですが、実のところ私はゼロか百かの意見が嫌いでしたので、元々相反するメッセージは得てして当たり前との認識はありました。


 例えば、履いて捨てるほどまでに出し尽くされている異世界転移・転生モノや俺TUEEE設定なども、『ありきたり』『2番煎じ』というデメリットを持つ一方で、既に面白さが十二分に証明されている要素というメリットを合わせ持ちます。読者の嗜好でも『同じような設定の作品は嫌い』という人もいれば『似たような作品ばかり好んで読む』人もいます。


 つまり、全ての読者やコンテスト担当者の望む要素を持った作品を作るのは不可能に近く、限りなくソレに忠実にメイキングしたとしても器用貧乏な作品になってしまうでしょう。


 しかし、今回の注釈により今までレーベルサイドのメッセージで相反するものがあったとき、どちらを優先すべきか困惑されておられた方も、スッと心に落ちたかと存じます。



 ではさっそく前回に引き続きキャラクター文芸部門の特設メッセージの考察に移っていきたいと思います。


 が、その前に前回のWebコン3の結果をお知らせします。


 キャラクター文芸部門は前回から新たに再編された部門です。今までファンタジー要素がなく、恋愛要素も薄く、ホラーやミステリーの側面も無いジャンルとなれば、現代ドラマ部門(ドラマ・ミステリー部門)に入れるしかなく、どうもしっくりこなかった部分がありましたが、キャラクター文芸という大きな受け皿に置き換えてもらえたため、取り敢えず迷ったらこちら!的な部門でもあります。


 前回のコンテストの受賞結果も該当無しの部門が複数あるなかで、大賞1に特別賞3とレーベルサイドの書籍化意欲も上々でした。


 それでは、改めてメッセージの考察を致します。


『恋愛以外を主テーマとして、主人公やヒロインといったキャラクターが活躍する』


 当然ですね。以前の考察でも書かせていただきましたが、恋愛が主テーマであれば恋愛orラブコメ部門で争って頂きたいですし、書籍化もそのジャンルを主戦場としたレーベルから出した方が得策です。さらに言えば恋愛要素に限らずホラーやミステリー、ファンタジーモノに関してもその要素が強いのであればそちらの部門でないと受賞は叶わないと存じます。結果凄く面白い作品であってもカドカワ側にしたらカテゴリーエラーとしてコンテスト終了後に拾い上げという流れに持っていくことでしょう。



『日々の私達の生活を豊かにする“知識ネタ”を題材として、主人公やヒロインといったキャラクターが活躍する小説』


 これは着眼点のことでしょうか。どんなに面白い作品でも求心力を持った骨太なメインの設定がなければ魅力が分散してしまいます。言い方を変えるとどこに魅力を感じたら良いか解り難くなってしまいます。例えば、キャッチフレーズの『元気イキイキ健康ドラマ!!』というように、健康に関する知識がストーリーの要になるような、物語の構築が必要だと思います。まあ、『元気イキイキ健康ドラマ!!』のワードに魅力が溢れているかどうかは別としまして💦『お酒と大人の事情はほろ苦い』にしとけば良かった……



『読者の求める要素をきちんと織り込んだ、エンタテインメントとして成立している作品』


 ざっくり言えばライトノベルとして成立しているかどうかで判別できます。知識や職業経験を文章化したところで、それがただの専門書や説明文になっていたらエンタテインメントとして成立できません。専門知識や、職業経験を活かして、魅力あるキャラクターどうしがやり取りをする起承転結の流れをつくってこそエンタテインメント作品として評価されることでしょう。



『20~30代の、ライトノベルを卒業した世代の女性が好まれる作品』


 これは先も言ったように、ライトノベルとして成立できていない書式を推奨しているわけでは決してありません(と私は認識しました)。所謂、中高生向けのライトノベルを卒業した社会人に刺さるようなちょっと大人向けの要素を持つ作品が好まれるということでしょう。純文学のようなものを勧めているわけではないと存じます。



『物語の題材を選ぶにあたり、読者の顔が思い浮かぶかを考えて選べば』


 嗜好ジャンルがある読者は同じ性質の作品を読む傾向にありますので、学園モノであるとか、色々なルールや人間関係に縛られた社会人の読者にはそれらに一切縛られない気持ちの良いサラリーマンを題材にした作品にするとか、読者層のターゲットを絞ってピンポイントにそこへ刺さる作品を心掛けるのも必要だと思います。



 今回も2千字越えと色々書かせていただきましたが、キャラクター文芸こそ一番多くの要素を受け止める大皿を持った部門ですので、それこそ特設メッセージに拘らず、レーベルの選考担当が気づいていないような魅力ある要素や方向性を持つ作品に挑戦するのも全然アリだと存じます。もし今回受賞した作品の特殊な指向が次回のキャラ文芸の特設メッセージに追加されていたとすれば、その作者は間違いなくキャラ文芸の未来を引っ張っていっていることとなるでしょう。


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