七作目、吸血鬼と眷属の弾丸協奏曲《バレットコンツェルト》を読んで
Trijicon.(トリジコンドット)様の作品『吸血鬼と眷属の
始めに書きますが、これはあくまで一個人の感想です。
作者様にはあまり真に受けないで頂きたいのです。
ただ、異なる思考、視点の持ち主も居ると言う事を理解する上では、訳立つかもしれない、そんな程度の物です。
正直に言いますと、私には読むのが少し辛い作品でした。
主人公にも、主の吸血鬼にも感情移入をすることが出来きなかった事が最大の要因だと思います。
ここは完全に個人の感性だと思いますから、仕方ないと言えば仕方ないでが。
そして、感性の違いと言う物は誰が悪い訳でも無いのだと先に言わせて頂きます。
さて、あらすじです。
小学校に上がる直前に両親を殺された少女村雲ローアン。
彼女は吸血鬼であるキュルテンに育てられ、16歳となった際に眷属となった。
復讐を求めながら、敬愛する主との生活は、血と硝煙に塗れたもので……。
少女と女吸血鬼の組み合わせであり、作品のあらすじによると中々ハードな世界が繰り広げられると思われますが、まだ、話はそこまで至っておりません。
日々の生活は、確かに裏社会的な物であり、撃たれたり、人が死んだりはしていますが、そこまで話全体としては動いていない感じです。
さて、題材は魅力的ですし、文体自体には全く問題は無いのですが、何故私には辛かったのかを書きます。
それは人物の描写の薄さにあるのではないかと思うのです。
作者様は銃器に関して、或いは電車に関して大変お詳しいのだろうと描写を読んでいて思いますが、反面、人物描写が薄いのです。
銃器並にとは申しませんが、今少し描写をしていただかないと私の様な読者にはついて行くのがやっとと言う形になってしまいます。
私のような感性が主流派かは置いておきますが、人物の表情や雰囲気についてもう少し書いて頂けたらなぁと思います。
また、三点リーダーの扱いについてですが、これは気にする方は気にしますし、気にしない方は気にしないと言う物ですが。
私は気にする派なので一言。
沈黙などを表すのは『・・・』よりは『……』を使う方が一般的です。
三点リーダーを二つ繋げて沈黙の表示とするのは一般的ですが、一つのみでも、これが俺の文体だと通すのであれば在りかも知れません。
ただ、中黒を三つ繋げた『・・・』は沈黙の表現とするのは無理があるような気がします。
そこまで厳密にせずとも、面白ければ良いと言う意見もあります。
ですが、敢えて心証がマイナスになる物を選ばなくても良いだろうにと言うのが私の意見です。
全体的な感想についてですが、如何にも描写のバランスが銃器や電車と言った方面に特化していて、人物にはそれほど力を注いでいない印象を受けてしまいます。
もう少しポップな文体や作風ならば、そう言う物かと流せたのでしょうが、作風はシリアスであり、作者様もしっかりと書いて行こうと言う気概が見えるだけに非常に惜しいと思うのです。
それと個人的な事で恐縮ですが、私は弱点の無い吸血鬼は嫌いな方なので感想が辛目かもしれません。
それはチートだからと言う訳では無いのです。
様式美を捨て去ってしまったようで、なら別の何かで良いじゃないかと思うのです。
このように色々と書いておりますが、所詮、個人の感想に過ぎません。
変に気にされる事が無いように、作者様にはお願いいたします。
次の感想を書く作品は……2.転ペン様、参加作品は『エルジェイムで ~城勤めの兵士と菜園の魔王~』です。
GW中には更新できると思います。
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