第12話 年末年始と普段の生活

年末年始は二人とも仕事が休みだった。未希は社員食堂に勤めることにしたので、休みはずっと一緒に過ごせると喜んでいた。俺も嬉しい。


大晦日は俺の部屋で除夜の鐘を聞いてから、すぐ近くの八幡神社に初詣に行った。


それから明け方まで二人でお酒を飲みながら、お互いの仕事のことなどを語り合った。明け方、未希は眠そうに帰っていった。


元旦は目が覚めたら、もう12時近くだった。未希から電話があって、未希も今、目が覚めたところで、お節を食べに来てほしいという。


すぐに身支度をして出かけた。そして未希が作ったと言うお節料理とお雑煮をご馳走になった。


それから、公園に散歩に出かけた。未希は元旦の夜は泊ってほしいと言って聞かなかった。ただ、抱き合って眠るだけと約束して泊ることにした。未希は散骨の日からずっとそうだったのでそれでもいいと言った。


久しぶりに二人でお風呂に一緒に入った。俺は未希の背中を洗ってやった。未希も背中を洗ってくれた。


その間、未希は俺のあそこにちょっかいをかける。やめろと言ってもやめない。固くなったのを見届けてようやく止めた。安心したみたいだった。


俺はもう回復しているが、未希は抱き締めるだけにしている訳をよく分かってくれていた。


久しぶりに未希を腕の中に抱いて寝た。あのころよりも随分女らしい身体になっていた。


未希が身体を押し付けて誘惑してくるが、俺は未希を強く抱き締めることで思い留まった。もう少し時間が必要だ。


未希はそういう俺のやり方に満足して眠ってしまった。俺はその寝顔をいつまでも見ていた。


俺はあのころとは人が変わったのではないかと思うほど欲望が抑えられている。


◆ ◆ ◆

正月休みが明けて、普段の生活が戻ってきた。未希は8時30分が始業なので俺より早めに出かける。俺は9時からなので8時過ぎに出かける。


帰り時間は、未希は食堂でパーティーがない限りは6時前にはスーパーに寄って帰宅するとのことだ。俺は8時頃にアパートに着くが、五反田で未希にメールを入れる。


そして自分の部屋には行かずに直接未希の部屋に寄って食事をする。その方がほどほどで引き上げるには都合がよいと分かった。


泊まるにしても週末に限っている。お礼の1000円は月末に回数でまとめて払っている。


土日は二人で出かけたりしないで外食をしなければ、俺が夕食を作って未希を招待する。


未希は以前に俺が作ってやっていた野菜炒めやカレーなどが食べたいと言うので希望のメニューを作ってやっている。


それを食べるとあのころを思い出すからなつかしいと言ってくれる。未希もお礼に1000円を払ってくれる。俺の方が断然得している。


未希は今の生活に満足しているみたいだ。いや、俺との身体の関係が元に戻っていないから少し不満かもしれない。


でもいつも穏やかだ。俺に怒った顔を見せたことがない。俺も未希を怒らせるようなことはしたくないし、していないから当然のことかもしれない。


俺は未希と正面から向き合っていたいと思っている。俺のためにも未希のためにも過去から解き放されるためにも、それが良いと思っている。

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