第12話 同居の手続きを完了した
火曜日、俺は午後休暇を取った。午後1時前にはアパートに戻ってきた。それからすぐに転出の書類、印鑑、保険証などを持って、二人で近くの区の特別出張所へ歩いていく。
まず、転入届をした。住所は同じでも世帯は別にできる。次に保険証の住所を今の俺の住所に変更した。
もう父親の世帯とは別にしたので父親が滞納しても関係ない。未希は自分の分の保険料だけ月5000円位を支払えばいい。アルバイトで十分に支払える。これで未希は父親から自立できたことになる。
帰りに公園の遊歩道を散歩する。池には越冬のための鳥が群れて泳いでいる。いろいろな種類がいる。誰かが餌をやっているのか、鳥が群がっている。未希はそれをじっと見ている。
「健康保険の払い込みは銀行振込にしたらいい。そうすれば未希の銀行口座から自動的に引き落とされて、滞納の心配がないから便利だ。あとで手続きを教える。近くに銀行の支店があるからそこへ書類を持っていけばいい」
「そうします」
「今日は会社を休んでくれてありがとう」
「気にするな。これで未希は親父さんから自立できたし、俺もその方が好都合だ」
「アルバイトのお給料が出たら、お父さんに払ったお金を少しずつ返します」
「アルバイトの給料は未希のものだから返す必要はない。親父さんに渡した金の分は少しずつ返してもらっている。身体で」
「それでも返したいです。あんな大金」
「いいから、俺は身体で返してもらった方が良い」
「分かりました」
「いいか、自立したんだから、これからはお金だけが頼りになる。アルバイト代は無駄遣いしないで貯めておいた方が良い」
未希は頷いた。
「それから、土日を除いて1日1000円はこれまでどおり食事代として支払う。毎日は面倒だからまとめて月2万円支払う。ウィークデイの昼と夜はそれでなんとか食ってくれ。朝食と土日は自炊するからいいだろう」
「そんなにしてもらっていいんですか?」
「気にするなら、掃除と洗濯くらいはしてもらってもいい。未希のものを洗う時に一緒にしてくれればいいから」
「それでいいのならそうさせてください」
「俺も掃除と洗濯をしてもらえると助かるから」
「よかった、少しはおじさんの役に立てると思う」
はじめて未希が笑ったのを見た。未希が手を繋いできた。手を繋いで歩くなんて戸惑いながらも悪い気はしない。
今日の内に保険料の銀行振込の手続きも済ませておいた方が良いと思ったので、二人でアパートに帰って書類に書き込んで、銀行の支店へ行くことにした。幸い支店が雪谷大塚にあることが分かったので二人で歩いていって手続きを済ませた。これですべて終了した。
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