第34話 はちゃめちゃな大学生活
俺は大学入学を機に家を出ることにした。
寮に入ることもできたが、18歳になった俺にはTrust fund(信託基金)から毎月大金が入るので一軒家を借りたんだ。
おいおい、忘れるなよ。
俺は、スペード家の息子なんだぜ。お前らと違って、生まれた時から金に困ることなんてないんだ。
アメリカは、場所によって治安が変わってくる。俺が借りた一軒家は、自宅からそう離れていない場所だったが仕方がない。
金持ちの俺が貧乏人の住む場所になんて住めないだろう。そんな場所に住んだら金持ちの俺は標的になり命の危険すらある。俺が借りた家は、一人で住むには広すぎだが、通いの家政婦を頼んだので家事の心配もない。
親父はニヤニヤと笑ってた。俺がこの家を出るのがそんなに嬉しいのかよ。
くそっ!!
親父はもう中年だろう。今に見てろよ! 俺はこれからビッグな男になるんだ。
俺が家を出る朝……康代は悲しそうな顔をしてた。
あいつは間違いなく俺に気がある!!
俺は親父には聞こえないように小声で言ったんだ。
「お前を諦めたわけじゃないからな! 約束を忘れるなよ」
「ばかね」
康代は、鼻で笑いながらつぶやいた。
俺は確信した。絶対、気がある。
◇ ◆ ◇
息子のロバートが康代を好きなことくらい、すぐに勘付いたさ。
俺の息子だ。DNAは嘘をつかない。同じ血が流れている。
女好きな息子には、正直……手を焼いた。
13歳で妊娠させた時には、相手に莫大な金を払い処理をした。あいつはそういう大人の取引があったことなど知らないだろう。元妻には、散々文句を言われた。このバカ息子を家から出して寄宿舎にでも預けろってな。でも俺はそうしなかった。相手の娘を寄宿舎に出すことにしたんだ。お前をそばに置いておきたかった。お前は俺の大事な息子だ。
性に目覚めるのが早いのも俺のDNAだろう。いろんな女を知り尽くした俺がやっと気を許してホッとできる女神を見つけたんだ。お前になど取られるものか。俺は、お前の父親だ。
お前は、俺の分身なんだ。お前の考えていることくらい読めるんだ。
大学に入るとたくさんの盛りのついたメス猫達がお前を取り巻くだろう。お前はそれらの女達を味わい、堪能する。俺がそうしたようにな。
楽しいぞ!! よりどりみどりだ。あのメス猫どもは、大学に男を探しにくるんだからな。なんでもさせてくれる。好き放題だ。高校生のような束縛もない。お前は一軒家を借りたんだ。そこでパーティ三昧の日々を過ごすだろう。
あはは……。若いお前は、今以上に自由を楽しみ、性の快楽に溺れていくだろう。どんなに康代のことが好きでも、すぐに忘れるさ。
康代は若いが賢い女だ。俺とのこの生活を捨ててお前に走ることなどない。そう……賢い女だから俺はこの子を選んだんだ。お前の若さでそれを見抜いたのは褒めてやろう。一緒に住んだから気づいたんだろう。彼女の思いやりとやさしさに。彼女のガードは硬いぞ。お前では突破できないだろう。俺は、彼女のためならたとえ息子だろうと容赦はしない。まっ、そんなこと心配することもないだろうが……。
息子よ。淡い恋心など抱いてもお前はまだ若い。大学生活を楽しむことを考えろ! 遊べるうちに遊んでおけ。ただし、二度と失敗だけはするな。失敗してガキなんか出来たら女は絶対に産むというだろう。そのガキは女にとって一生の金づるになるからな。……それだけは気をつけろ!! 俺からの忠告だ。
ロバート、お前は俺の息子だ。愛してるぞ!!
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