OMOIDE IN MY HOOD
ポンチャックマスター後藤
第1話~冷蔵都市~
人類が宇宙人による「人類ジェノサイド光線」により滅んでもう何年経ったのだろうか。この地球にはどれだけ人類が残ってるのかは分からない。僕が生き残ったのは全くの偶然だ。「生命絶対守る装置」の実験中だったから助かった。嬉しいことに僕は生き残り、悲しいことに僕以外の人類は消滅した。宇宙人は「地球、思ったより狭い」と言い残して去ってしまった。
その後、「地球氷河期ビーム」により氷河期が訪れた。「生命絶対守る装置」の中で4年間過ごしたが、孤独に耐えかねて外に出た。装置は燃料が切れて動かない。寒さと飢えの中で小動物や雑草を食べて生命を繋ぐ。もう日にちの感覚も無くなってしまった。
死ぬ勇気も無く街を徘徊していると1人の女の子を見かけた。ついに幻覚を見るまでにもなったかと絶望したが足音が聞こえる。まさか?いるのか?人間がいるのか?生きているのなら人間じゃない。亡霊かロボットだ。赤いフードを身に着けた女の子は廃墟と化したビルに入っていく。残り少ない体力をすべて使って全力で走る。早歩きと速度は変わらないが、これでも必死で走っている。
階段を上がる。高鳴る鼓動は急に運動をしたからじゃない。あの子に会いたいからだ。階段に残る足跡が実存を裏付ける。目の前にはドア。無骨な雑居ビルのドアだ。ドアノブを掴む。冷えた金属に触れた時の痛みが無い。微かに温かい。鍵はかかっていない。ゆっくりとドアを開くと悪魔の笑い声に似た金属音。そこには女の子らしい部屋が広がっていた。
「君は……」
フードを身に付け、首には南京錠を付けた女の子が小首を傾げて僕を見ている。
「私、フード女子。あなたは?」
「僕は……」
僕の心はWindowsMEよりも脆かった。目の前に鮮烈な青が広がったかと思うと強制終了してしまった。
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