北海道ダンジョンウォーカーズ(外伝)
青山 羊里
第1話 ダンジョンに行くの♡
北海道って言えばね、
カニ。
ラーメン。
ジンギスカン。
雪まつり。
そして、『北海道ダンジョン』
これは、私がこっちきて驚いた事。
北海道って言えばカニだって思ってた。
普通に毎日カニが食卓に乗ってるって思ってた。もう、関東圏での『ご飯だよ』くらいの勢いで北海道の人って毎日カニとか食べていると思ってたけど、違った。
今、北海道でもカニって高価な食べ物で、流通が良くなっている昨今、多分、東京でも同じくらいの価格で食べられるらしい。
あ、でも、こっちにしかいないカニとかもいるし、タラバの新鮮のはやっぱり北海道だよね。本当に美味しかったなあ、タラバの刺身。
そしてラーメン。
美味しいんだけど、濃さにびっくりした。もう味も量も全体的な存在感が濃い。なれるまで驚き続けたけど、慣れてしまってもやっぱり美味しい。
私が食べて1番しっくりきたのは『昔風ラーメン』って言う、謎の味付けの(多分、塩?か醤油?)こっちの人に言わせると薄味のラーメン、乗っている具も普通。でも人気有名店にはないから、その辺の名も知らぬ昔からあるラーメン屋さんで食べるみたい。最近は置いてないほうが多いって、じゃあ味噌でいいや。
それと、ジンギスカン。
どこ行ってもジンギスカン。
いつでもジンギスカン。
花見も、宴会も、家でも外でもアウトドアでもジンギスカン。ちょっと前まで運動会の応援でもジンギスカンな人たちがいたらしい。
それに加えて、こっちの人って羊が好きで、シャブシャブにも羊を食べる。
有名観光地でもある『羊ヶ丘展望台』とかでは、草原を自由に往来する羊を見ながら羊を食べられる。
「羊、可愛いいね」って言いながら羊を美味しく食べられる。
私はちょっと抵抗あったけど、こっちの人には普通みたい。
流石に自然いっぱい、野趣溢れる北海道だなあって感心しちゃった。
それと、ちょっと外れて、同じ食べ物っていえば、こっちの『すき焼』きって豚肉なんだよね。美味しいけど、豚肉も好きなんだな、北海道民って思った。
ほら、函館の方では豚の焼き鳥とか謎の食べ物や、こっち豚丼とかの発祥の地だからね。
後、最近は『ゴブリン鍋』って言うのが有名らしい。北海道にダンジョンが表れてから徐々に広まり出して、今や市民権を得ている鍋らしい。家庭でも気軽に食べられるらしいけど、ごめんなさい、ゴブリンは無理です。
そして、雪まつりはすごかった。
私、丁度、その時期に新しい家の下見とか来ていたから、丁度、雪まつりに見にいけたの。
雪像とかお店とか観光客もたくさん、海外からのお客さんもいて、大きくて綺麗でワールドワイドだったよ。
でも北海道の冬は始めただったから、初めて札幌の街を見て、雪がいっぱいあったのに驚いて、普通に豊平区に到着して雪をかぶった住宅街を見たときに、
「え? 雪まつり会場???」って思っちゃったの。
寝ぼけてたから、本当にその雪の多さに驚いて、車から降りてボーッとしていたら、突然、戦車みたいな車両が大きなダンプ引き連れてやって来て、もう、
『スターウォーズ』の世界?? いや、ガンダムかな?って思っていたら、除雪作業だったわ。
その雪を掻き取って、ダンプに積見込み為に吐き出す戦車みたいな重機の周りにいた警備のおじさんに「お嬢ちゃん、危ないよ」って誘導されて、安全なところから見ていたけど、正直、北海道来て1番度肝抜かれたわ。
もう、ズガガガガ! ウイン!! ドシャァァァ! って感じ。
雪を積めるだけ積んだダンプは、走り去って行く。あれ、雪まつりで使うのかなあ、って思ってたら、土や汚れなんて入った不純物の混じった雪は使えないんだそうだ。
溶けてしまうのも早いらしい。だから雪まつりの雪って、わざわざ自衛隊のみなさんが、山から綺麗な雪を持って来るらしい。ご苦労様です。
あとね、小さいことだけど、『カツゲン』って飲み物。
最初、お父さんにセイコーマート連れてかれて、「カツゲン飲むか?」って聞かれて、え? カツカレーのカレーはよしんば飲み物だとしても、カツはのみののではないよ、って言ったら、普通に紙パックに入った乳酸飲料だった。
この飲み物のどこにカツゲン要素があるのかもっか聞き取り調査中です。
でも美味しい。カルピスな感じ。
あ、セイコーマートって、北海道の当地なコンビニなのね。鳥のマークも可愛らしい、コンビニなんだけど生鮮食料品も売っている、今は東北までその勢力を拡大しているらしいのね、北海道の農協さんともつながりの深いコンビニ。
だから卵とか牛乳がとってもフレッシュで、この新鮮さって、もしかしたら牧場いかないと飲めないよってレベルで美味しいの。
それにオリジナルのアイスとかドリンクとかとっても美味しい。しかも何もかもがリーズナブルな値段で、普通な女子高生の私の財布にとっても優しい。
新しい家の近くにもあった。しかも『ホットシェフ』付き。
ホットシェフって、そのセイコーマートでお弁当とか作ってるの。レンチンしなくても暖かい、できたてのホヤホヤ、私、あの豚丼の温玉乗ってるのが気に入ってる。フライドチキン、ポテト、おにぎり、本当に語り尽くせいない。
もうこれは通うしかなないよね。
ちょっと、話は横道にそれたけど、最後はいよいよこれ。
そう、
『北海道ダンジョン』
北海道にはダンジョンがあるの。
それは決して地下道や地下街、まして最近ススキノから札幌駅までを地下だけで歩ける、地下歩行空間でもない。
本当にダンジョン。
罠も、モンスターも出るダンジョンが、北海道にはある。
そして、そのダンジョンを行く人を、ここでは『ダンジョンウォーカー』って呼ぶんの。
凄いのは、武器とかの携帯は認めれている事。
普通に刃渡り70センチを優に超える『剣』的な物とか、腰に差して歩いても平気。
ここ北海道には、このダンジョンが溢れ出さないように、いろいろな条例があって、特に有名のなおが『ダンジョンに負けない青少年育成条例』と言うのがあるの。
過去何度か、このダンジョンが漏れ出す大騒ぎがあって、それ以降、このダンジョンて一定数のモンスターを倒さないといけないんだって。ほら、このダンジョン、大人の人って入れなから、子供が頑張るしかないの。
面白い事に、このダンジョン、年齢制限があるんだよ。
年齢制限というか、言ってしまうと学生専用??? みたいな感じで、中学校入学から高校卒業までの年齢帯の人しか入れないらしいのよ。
だから、中は子供だけらしいの。
そんな、子供達だけなんて危ないくない? って思うけれど、そこは、『学生間連絡協議会』通称『ギルド』という、ダンジョンウォーカーだけで作られた組織があって、キチンとバックアップしてくれるらしい。
だから、ある程度の安全は担保されているみたいなの。
あ、こういうのも全部、ギルドに行くと小冊子で『初めてダンジョンに入るための心得』というのをもらえるらしいんだけど、私の場合、情報のソースはお父さんなんだ。
実はお父さんとお母さん、昔はダンジョンウォーカーで、一応は深階層までたどり着いた人達だった。
だいたい、深階層に行ける人って100人に1人くらいらしいの。
凄いよね、ウチのお父さんとお母さん。
あ、北海道ダンジョンって、大きく3段階の階層に別れていて、1階から8階までが『浅階層』、それか地下30階くらいまでが中階層、そしてそこから先が深階層に別れていて、深度を増すと、ダンジョンの難易度、モンスターとかも強くなったり、トラップも複雑凶悪になって行くんだそうだ。
だから最悪、大怪我とか時には死んでしまう人もいるらしいんだけど、このダンジョンの中で死んでも、割と簡単に生き返れるらしい。怪我とかしても直ぐに治るみたい。
全部、ギルドで無料で直してくれるんだって、優しいなあ。初診料とかもないみたい。保険証もいらないみたい。虫歯とかも直してもらえるのかな?
それと、後、スキル持っている人が、怪我の回復とか、お亡くなりになった場合蘇生スキルとかで直せるらしいの。
安心で、安全だけど、痛いのは嫌だなあ。
あ、そうそう、スキルって、今の段階で、ダンジョンに入ったことがない私にはわからないけど、ダンジョンウォーカーの中にはスキルって言う特殊な能力を持った人が僅かな数だけどいるらしいの。
魔法攻撃とか出来る人もいるらしい、凄いよね。
魔法だよ、魔法。
私も何かあるかなあ、スキル。って思うけど、普通スキルを持っている人ってキ
チンと確実に使用が可能な状態で目覚めた自覚できるからそれが無い私の場合は、今の所、きっと何もない空っぽの私なんだ。悲しいけど。
でも、お父さんも、普通に何もない人だったし、それでも深い場所まで行ってるんだし、これは都市伝説とかの類の話だけど、このダンジョンが始まって以来、誰もが伝説と認める強さを持った、今も尚、語り注がれている最強な人って、どうやら私と同じ無スキルな人だったって話らしいの。
だからきっと私にも希望はあると思うわ。
可能性は低いけど、ダンジョンい入ってからスキルに目覚めるって人もいるみたいだし、そこはのんびり行こうと思う。引越ししたてで友達もいないし、そのうち誰かと一緒にダンジョンウォーカーできればいいな、くらいに構えて行こうと思ってる。
私のが通っている学校って、女子高で、一部有名なお嬢様学校だから、と言うか引越し時期と入試の関係でここしか入れなかったやむなしな環境で入ってしまった有名私立らしいんだけど、お陰でか庶民な私は浮きまくりだけど、きっとダンジョンの中でも知り合うってこともあるみたいだから、そのうち友達もできるといいな。
この学校って小学校からのエスカレーター式だから、だいたいグループとかもできちゃってるし、仲間どころか、女子系ないじめの渦中に入らないようにもしないとなあ、ひとまず学校では空気になっている私なの、でも一応の挨拶くらいはできるよに頑張れ私。
で、話はスキルに戻るけど、そのスキルを持っているだけでも凄いのに、さらにその上に行く人達がいて、いくつものスキルを複合的にそして効果的に持っている人とか、かなり希少なんだけどいて、そう言う人たちって、『エリートクラス』とか言われているんだって、きっと後光とかも射しているんだと思う。
そう言う人ってダンジョンウォーカーの中でも有名で、ギルドとかに入っちゃったり、中には初めてダンジョンに入ったその日に深階層まで行ってしまう人とかもいるらしい。
もう別世界の人だよね。
でも仲間になってくれたら頼り甲斐があるなあ、とは思うけど、多分知り合う機会もないと思うわ。だって別世界の人だから。
地味に、コツコツ、一歩一歩、確実に3歩進んで2歩下がりながらも頑張ろうと思う。
ひとまず、明日から北海道ダンジョンに行こうと思う。
あ、そう言えば札幌市内の公共交通機関って確か『ダンジョンに行きます』って言えば、ダンジョンに入れる年齢の人は無料だって、話だ。
JRは有料だから、JRバスとか気をつけないとって思うけど、家からなら市電(路面電車)一本で行けるね。
ひとまず、日向 ちから16歳、明日からダンジョンに通います。
そんな決心をすると、すぐに誰かに伝えなきゃ、って思って、キッチンにいる母に、
「私、ダンジョン行くから」
って伝えると、こっちにパタパタとやって来て、
「まず、装備を整えないとね」
って1万円札をくれたよ。フオオ、1万円だよ、1万円。
そしてお母さんは、年を押すように言うの。
「剣や防具は『装備』しないと意味がありませんよ』
って棒読みなセリフで言うの。
知ってるよ、そんな事。
〈つづく〉
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