5#墜ちて萎んだ風船
ぽーん、ぽーん、ぽーん、ぽーん。
親ツバメ達が雛に餌を与える際、どうしても後ろの赤い風船に身体や翼が当たってとても苦労していた。
ぴーぴーぴーぴーぴーぴー!!
「よっこらしょっと!」
ぽーん、ぽーん、ぽーん、ぽーん。
・・・やばいわ・・・
・・・もし、何かの拍子でこの風船がパンクしちゃったら、我が子がパニックになって・・・
・・・やっぱり退かそうかなあ・・・
風船を退かそうにも、問題があった。
後方には、天井に鋭い突起があり触れると一発で風船がパンクしてしまう恐れがあると、雄ツバメのレッシュの指摘で解ったからだ。
・・・どうしましょ、この邪魔っけな風船・・・
しかし、この風船は日に日に艶が無くなり、浮力もだんだん無くなってやがて・・・
「あれ?ここにあった風船は??」
雛に餌を与えにやった来た雄ツバメのレッシュは、今朝までプカプカとゆらゆら浮かんでいた風船がいつの間にか無くなってるのに気付いた。
「あれ・・・!!」
レッシュは下の床を見た。
「あの萎んだ赤い玉・・・!!」
レッシュは、そこ小さい赤い玉にいつぞやに付けてしたった巣材が張り付いていたことに気付いた。
「風船・・・?!こんなに縮んじゃった!!」
ぴーぴーぴーぴーぴーぴー!!
続いて、雛に餌をやりに来た雌ツバメのフーレが、その萎んだ風船を見詰めてるのに気付いた。
「レッシュさーーーん!」
「なあに、フーレちゃん?」
「あらら・・・あの風船がこんな姿に・・・」
「でも、良かったね。邪魔な風船が、実質的に退いたんだから。」
「でもねえ・・・この風船・・・」
雌ツバメのフーレは、ポンポンと翼で萎んだ風船のゴムを叩いた。
「やっぱり、『寿命』じゃね?」
はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!
「寿命じゃないよーーーー!!」
「?!!!!」
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