【論文抜粋記事④】
・国立名古屋工科大学一年 シュン・トヨシマ
個人研究一年前期報告【COTの触覚技術の必要性と再現方法】より抜粋
現行のCOTは、身体の実に八割にも及んでおり、理論的には脳以外の機能をすべてCO化することも可能となっている。
しかし、現状で全身に及ぶCO化の例は極めて少なく、義手、義足などの旧来の発展型のものから、必要性による一部臓器の代替としての使用が主流となっている。
現段階でも、人の平均寿命は百五十年を超えると推論されているが、全身のCO化を行うとすれば、脳の活動限界、現状では二百五十年までは延命が可能となってくる。
それに付随する社会保障制度や、人権問題に関しては、今回は伏しておくこととし、現状の全身CO化に対する問題点を検討してみることとする。
現在のCO化に関して、使用者の改善要望は以下のとおりである。
一位・メンテ費用と手間 五十八パーセント
二位・感覚の喪失 三十三パーセント
三位・駆動音 六パーセント
(第二十一回 JRI CO使用者アンケート集計参照)
メンテナンスや駆動音に関しては、現行のCO技術向上と流通の増加により解決していく内容である。よって、今回は根源的な問題となりうる、感覚の喪失について考えていく事とし、特に重要なファクターとなりうる表在感覚に絞って話を進める。
まずは痛覚である。
生体は怪我をすれば、痛みを感じる。これにより反射が起こり、危険認識や回復講堂が行われるのである。
しかし現行のCOに痛覚は存在しない。そのため、小さな裂傷や些細な故障などに対し、多くの場合はメンテナンス時に認識される。
三か月に一度のメンテナンスが法律により義務化されているが、故障のタイミングによっては、二ヶ月以上の期間、故障が発見されないこととなる。
これは由々しき問題である。
一見すると、痛覚は使用者が苦痛を伴わないという点で利点のように受け取られがちだが、故障により、COの異常過熱が起こり、細胞破壊(Cell Destructin)を引き起こす原因にもなっている。これは最悪の場合、脳細胞への影響(brain Burn)により死亡するケースあり、直接的な要因に限っても、年間二~三件、間接的な要因に関して言えばそれ以上のペースで発生している。
(日本医科研、COエラーによるセルディストラクション発生例報告書参照)
また、使用者本人への影響以外にも、COの故障による稼働ミスで発生している交通事故や傷害事故は、年々、増加の一途をたどっている。
(警察庁、COトラブルに関する交通事故発生件数データ参照)
よって、より安全なCOの運用を考える上で、痛覚による自己把握技術の向上は、必須の技術であると言える。
次に温度覚である。
現在の一般的なCOの多くは、内部を合金SUS403βなどの導電率の高い金属と、硬化ベークライト、外皮部品をベークライトSなどの耐熱性に優れた素材で開発されている。これにより高い耐久性と耐熱性を獲得しているが、・・・・
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