儚い言葉は美しい

みー

はじまり

暗い暗い世界がそこにありました。

その世界でポツリと誰かが呟きました。


「ここはどこ?」


高くて可愛らしい声でした。


でも、その声はこだまするだけで

その世界は何も変わることは

ありませんでした。


「私はだれ?」


もう一度誰かが呟くと

なにかに導かれるように

一筋の光が差し込みました。


「なに?この光は...。」


その光を見つめ、光の射す方へ

歩いては立ち止まり、また歩き

様々な声や音が聞こえて来ました。


「これは何??」


少しいつもの声より高くて

驚いているかのような声をした誰かが

そう、呟きました。


それからと言うもの

ある、ふたつの声が外から聞こえるたびに

体を動かしたくなるくらい

楽しい気持ちになりました。


« あっ!動いたわ。»

« ほんとうか?? »


その声を聞くたびに

早くこの暗い世界から出たいと

思うようになりました。


そんなある日。

いつの間にか光が

大きく広くなり

あの子が、光に包まれる程

大きく広くなった時

ゆっくりとあの子は歩きだしました。


「まぶしいよ...」


そう思いながら

ゆっくり、ゆっくりと

歩きます。


そして、最後に外の世界が眩しすぎて

目を瞑った時

温かい声が聞こえたの。


その声を聞いて

大きな声で叫んだんだ。


「やっと会えたね」


ってね。

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