楢崎孝太郎の波瀾万丈物語 ー個性溢れる担当アイドルを添えてー
ハイブリッジ
プロローグ とあるライブバトル本番前、楽屋での出来事
とあるライブ会場、“ライブバトル”本番前の楽屋での出来事。
「えーライブバトルの本番前で大変申し訳ないのですが、みんなに言わないといけないことがあります」
俺の言葉に5人は頭の上に?マークを浮かべている。
「まずは
さっきたまたま対戦相手のアイドルユニットに会ったので挨拶をしたら、赤く充血した目で睨まれてしまった。
「それは誤解ね。トイレでレベルの低い悪口を言っていたから、悪口とはこういうものと教えたら泣いただけよ」
ん? それは誤解じゃないのではないか。
「次に
あの現場の空気を例えるなら、面白くないけどみんなが笑ってるから笑っとこみたいなそんな感じだった。
「…………でも
…………そうだな。俺と北本のお笑いレベルが進みすぎて、スタッフさんが追い付いて来れないだけだよな。だからそんなに落ち込まないでくれ。
「続いて
さすがに本番前はホールケーキではなくカットされているものにしてほしい。
「な、なんで知ってるんですかー」
楽屋に来るときに右手にケーキ屋さんの袋を持ってきてたの見てたからな。むしろあれで気づかれないとでも思っていたのか。ここにいるみんな知ってるぞ。
「それと
頼まれていたものと似ているオレンジジュースを袋から取り出す。
「ちょっと楢崎っ! 妥協は駄目よ。絵美里の飲み物係としてもっと責任を持ちなさいっ!」
一回りくらい年下の女の子に怒られてしまった。だって頼まれたやつ期間限定で売ってるところが少ないんだよな。
「そして
シンプルにステージに出られない顔をしている。
「いやー今日の対戦相手のアイドルたちが可愛いくてついつい……じゅるり」
他のアイドルの皆さんと同じ空間にいるときはよだれ掛けが必要かもな。
「すいません。Antoinette《アントワネット》の皆さん、そろそろ準備お願いします」
もう3周くらい言いたいことを言おうと思っていたが、ライブバトルの関係者さんから呼び出しを受けてしまった。
「まだまだ言いたいことはたくさんあるが、まあとりあえず今日のライブバトルを終わってからだな。よし大江、いつものよろしく」
「はいっ! よーし、今日も楽しくいきましょう! ファイトーー」
「「「おおっーーーー!!」」」
円陣の掛け声が終わって、5人はさほど緊張した様子もなく楽屋を出ていった。
「…………あれで勝っちゃうんだから凄いよな」
みんながいなくなり、一人しかいない楽屋で思わずボソッと呟いてしまった。
各々結構な癖があるのだが、実力は本物だ。個々が弓の矢だとしたら、5人揃えば
今回のライブバトルでも会場のファンの心に爪痕を深く残したに違いない。俺がAntoinetteのライブバトルを初めて見た時のように。
おっといけないいけない。ステージ上で輝く彼女たちを一番近くで応援しに行こう。
◆
今アイドルが熱い。
ライブやイベントは勿論、アイドルを盛り上げようと導入された"ライブバトル"がアイドルに興味がなかった人を多く取り入れたことが大きいと言われている。
全国でもこのブームに乗って観光客を増やそうとして多くのライブやイベントなどが行われ、このこともアイドルブームを加速させた。
じゃあこのアイドルブームの火付け役は何なのだろうか。それには2つの要因が存在する。
一つはアイドルユニット『Forte《フォルテ》』、もう一つはその年のアイドルの頂点を決めるライブバトルの『ミラクルlive』である。
この物語は
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