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「奈々子もおめでとう」
「ありがとぉ!」
「友達はもうできたか?」
「うんっ、たっくさんっ」
ニコニコしながら両手で大きな丸を作って“たくさん”を教えてくれる。微笑ましいピンクのスモック姿で。いつものピョンピョンしたツインテールに黄色い帽子がよく似合う。
「そうか、それは良かった。幼稚園はどう、楽しい?」
「たのしい!」
「幼稚園では何してるの?」
「おうたうたったり、おえかきしたりする! うさぎさんもいるよ」
「へぇ、ウサギ飼ってるんだ」
「かわいいよ! すかいもこんどみにきて!」
んー、それはちょっと無理かなぁ。保護者じゃない大人がそういう所に近づくと色々問題が出てくるから。
「また奈々子がお話し聞かせて」
「わかったぁ!」
幼稚園で教えているのか、大きく手を挙げて奈々子は返事を返す。元気いっぱいで可愛らしい。もともとこんな感じだったけど、さらにパワーアップした気がする。
「家でもずーっとこうやって幼稚園の事話しているんです。お友達が~、とか先生が~、とか。幼稚園で教えてらもらった手遊びとか歌とか私達にも教えてくれて。やっぱり最初は不安もあったんですけど、奈々子も楽しいみたいで良かったです」
「ふふ、そうですね。友達の輪が広がると色んな刺激がありますもんね」
「そう考えると、少しだけ心配も残りますけど」
まぁ確かに。悪いことを覚えてくる、なんてこともないわけじゃないし。親は親で大変だ。
「でもまぁ、心配していても仕方ないですから。奈々子が楽しかったらそれでいいです」
「ですね」
奈々子は奈々子で歩き出したのだから。親はその背中を見守ることしか出来ないよな。
「あ、もし時間があるようなら、良かったらどうぞ。入園祝い、なんて立派なものじゃないですけどお茶位は」
「いえいえ、そんな」
「気にしないで。いつもお世話になっていますし、これくらいは。カフェインレスのコーヒーも美味しいのがありますよ。奈々子もジュース飲むよな?」
「のむー!」
ニィーッと笑ってまた右手を高く上げた。
「それじゃぁ、すみません、少しだけ」
「どうぞどうぞ。チョコレートもありますから」
「わーいっちょこー!」
「こら奈々ちゃんっ」
飲み物とチョコで、ちょこっとお祝い、なんてね。
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