第100話 一新
「まさか、こうしてアイツと組むことになろうとはな……」
パンプは自嘲気味に笑みを浮かべていた。
彼がバーントと初めて知り合ったのは、
彼がブリアン家の屋敷から出て、しばらくしてからのことであった。
農村の生まれで面倒見の良かったパンプは、
バーントを弟のように思いながら冒険者として組むことがあった。
パンプ自身も冒険者になって日も浅く、
依頼の失敗をすることもあったが、それでも その頃の日々は、
今に思えば懐かしく、また楽しいと言える日々でもあった。
次第にバーントの他にも仲間や、彼を慕う者まで現れて、
優先的に固定で組むことも珍しくなかった。
バーントと決別するようになったのも、その時期であったが……
「お前らも、気合入れろよ。」
「へいっ! 」
「勿論でさぁ! 」
取り巻きのオーカーとカーキーに声を掛けつつ、
パンプも気合を入れ、戦闘のための準備を行なっていた。
*
えーっと……
「こんな恰好も、ひさしぶりね。」
なんでもないように言ってるみたいだけど、
アルテナの体が少し震えたような気がした。
やっぱり恥ずかしいんじゃないの……?
おやっさんの
革の長手袋の外側、革のオーバーニーソックスの前面に、
楕円形の金属板を動きやすいように貼りつけた腕鎧と足鎧。
脚底や拳骨の部分には、四角い金属板が溶接されていた。
足は下駄みたいな感じだし、拳にいたっては殴られたらヤバそう……
以前は胸鎧や腰鎧とかあったんだけどが、それがなくなってて――
アルテナは、腕鎧と脚鎧の他には、
かなり面積の小さいピンクのマイクロビキニしか着ていなかった……
しかも紐……
上も下も ほどけにくいように縛る紐がかなり長くなってて、
紐が体をぐるっと一周して結ばれているし、
下も長い紐が二対になってはいるけどさ……
それにしても、幅が小さくて大事なところしか隠れてない……
以前の鎧からビキニアーマーだとは思ってたけど、
今回のは……更に露出が過激になってる……なんで?
アルテナ……何があったの……? 聞き辛ぇ……
以前 聞いた時は、
あんまりジロジロ見るな、って怒られたし……
おれ以外の男性陣も、アルテナの恰好に驚いていたし、
ジョンやブラウさん以外の連中はマジマジと見ちゃってたし……
「私も、あんな恰好した方が嬉しいですか? 」
おれがアルテナを見てたのに気づいたシアンさんが、
軽く怒ったような感じでそう言ってきた。
そりゃ、嬉しいと思うけど、でも嬉しくもないし……
シアンさんの肌を見れるのは、おれだけであって欲しいしね。
そんなこんなでアルテナ達は、
加工屋で準備を整え終えると斡旋所に行き、
緊急依頼の魔物討伐依頼を受諾して街の東へと向かうことになった。
シアンさんにはコッソリと、
「また夜に会いに行きますから。」
と言ったら、
彼女は顔を赤らめ、機嫌を取り戻して出て行った。
「さて、彼女達で黒い魔物を討伐できれば良いんだけどね。」
二人きりになると、
ジョンが当たり前のように背後から抱きしめてきた。
もう慣れたけどね……
あのケルベロスっぽいの……街の中にまで来たりしないよな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます