Fate/Rust MemoryーCode of EMIYAー

宵闇崎タケル

0.傭兵は嗤う

ある一人の英雄せいぎのみかたは佇む、剣が突き立つ錆色の荒野を。

ある一人の英雄ようへいは嗤う、己が鉄心とその在り方を。

ある一人の英雄しっこうしゃは臨む、ただ世界の命じるままに掃除しごとを。

彼らを知る者はいない、彼らを讃える者はいない、その在り方を理解できる者など存在すらしない。ただ己が正義の為、無感情に悪を廃したその行いを、幼き頃から焦がれた正義の味方になったその結末を、知る由も無い。

人々は恐れ、人々は嫌悪し、人々は蔑んだ。誰からも感謝されず、誰からも望まれなかった。無造作に、無感情に、無感動に、無表情に、ころ始末するころす片付けるころす排除するころす殲滅するころす取り除くころす破壊するころす消すころす。社会から見たそれは、正義の味方では無く、ただの殺人の機構であった。かつて夢見た少年は、理想に溺れ、世界まもろうとしたものに殺された。故に彼らは、嗤う、その理想を、その在り方を、その末路を、を。

だが、同時にこう願う。自分で終わりにすると、こんな結末は自分だけで充分だと。

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Fate/Rust MemoryーCode of EMIYAー 宵闇崎タケル @Tloea

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